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シロのいない週末-2(完)
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月灯先輩が宿題やるって言うからつられて自分の宿題も取り出した。
「ねー先輩」
「何だか
「周期表の一番右の上から2番目って何?」
「ネオンか?」
秒で答えを出した先輩にびっくり。さすが学年主席。
「何でそんなに早いの?」
俺なんか語呂合せで指折り数えないと出てこないし。
「何でって18族は希ガスだしイメージが沸きやすいんじゃないか?」
18族って一番右の縦一列の事だよね?
「もしかしてさ、横じゃなくて縦に覚えてるの?」
「ああ、俺は周期より族で捉えた方が馴染みやすいからな」
「へ~」
「銀なんかあれだぞ、競走馬に準えて1、2族は白、3、4族は黒って色分けしてるしな」
銀先輩がくれたっていう周期表を見たらめっちゃカラフルだった。
俺も先輩たちにあやかって縦に覚えてみよっかな。
シロが俺のこと「翡翠」って青い鳥っぽいって言うから青に塗られてる7、8族から。あとシロの白で1、2族、
1族は一番左から一番上が水素~、その下がリチウム~、ナトリウム~、問1~、ルビジウム~。
「先輩、ナトリウムとルビジウムの間に入るやつは?」
「カリウムだ」
「ありがと。あとさ、この左から2番目の表の上にあるカッコには何書くの?」
「アルカリ土類金属のことか?」
「アルカリはカタカナで~、ドルイって何?」
「土に種類の類だ」
問題見てもないのにあまりにスラスラと答えるから先輩も化学やってるのかと思って手元を覗き込んだら英語やってた。
「あのさぁ」
「何だ」
「カリウムもカルシウムもカで始まるのにカリウムはKでカルシウムはCaだからごっちゃになるんだよね。あと鉄とフッ素もさ、鉄はFeでフッ素はFだし」
これ本当に困るんだよね。鉄はTにしてくれたらいいのに。
そう言うと先輩は勉強の手を止めて、お菓子の盛られたカゴをゴソゴソやって中から何か取り出した。
「これ食っとけ」
「何これ?」
先輩がくれたのは細長いお菓子だった。片方は白いパッケージでもう片方は紫ら、
開けてみると中にはウェハースが入っていた。
「白い方がカルシウムで紫が鉄だ」
ほんとだ。外にCaとFeって書いてある。
「食って覚えたら印象に残って忘れないだろ?」
「うん!」
このまま休憩にするかと言って先輩はカゴの中からお菓子を色々出してくれた。
「目が覚めるやつ飲むか?」
「何それ?」
大丈夫?
違法なやつじゃない?
なんて心配してたら先輩が取り出したのは茶道具だった。
お茶まで点てれるって、先輩には出来ない事なんてひとつもないんじゃないの?
茶碗に粉を入れてポットのお湯を注いで、木の泡立て器みたいなやつでシャカシャカやってる先輩の横顔が目の前にある?
しかしこうして改めて見ると月灯先輩は超美形だ。
綺麗だなーって見とれてたら「また何か悪さでも企んでるんだろ」って目を向けられる。
「先輩の顔めっちゃ格好いいなーって見てただけ」と言ったら、何故か焦って咳き込んでる先輩が可愛い。
「お、お前それ志朗の前でだけは絶対に言うなよ」
「何でー?」
「俺だって命は惜しいんだよ」
何気なく言った一言が思いの外効きすぎてしまったみたいで。
家まで送ってくれた先輩にお礼のチョコレート詰合わせを渡してお休みなさいを言うまで、先輩のガードは妙に固いままだった。
(完)
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