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ゆきごころ-6(完)
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「あれ誰?」
「誰か知らずに遊んで貰ってたの?」
シロは預かって来たお菓子の袋をポンと俺の頭の上に置いた。
スルンと滑ってきたお菓子を両手で受け止める。
「あ!」
予約していたからか、全国的に品薄になっているカールが入ってるのを見つけて、帰ってからの楽しみが増えた。
「あの人さ、シロの事恩人って言ってたけど何で?」
「いつかユキ本人が話してくれるさ」
さあ、部屋に戻ろうと促されて歩き出す。
「シロ」
「ん?」
「ユキって綺麗な人だね」
本当は同意して欲しくない。お前が一番だって言ってほしい。
「そうだな」
「ユキは……綺麗だ。俺の知ってる人間の中で一番綺麗だ」
やっぱり。
あれだけ綺麗な人だもん。
「でもな、お前に会ってお前が一番になった」
「シロ!!」
何だ? ユキに嫉妬したか? とシロは笑うけど、俺にとっては結構大ごとなんだから!
本当はシロにドンっと頭突きしたいけど、誰が見てるかわからないから我慢我慢!
「何よりユキは身内だしな」
「身内?」
「兄貴だよ、俺の」
「え?」
思わずシロの顔をマジマジと見てしまった。
比較対象はここには居ないけど顔はバッチリ覚えてる。
全っ然似てないんだけど。
「俺は親父に似てて、ユキはお袋に似てるんだ」
ユキの事を色々聞きたかったのに、シロは「それより」と話を切り上げてしまった。
「今までお疲れさま」
「ありがと」
「稽古に来なくなっても、いつでも遊びに来たらいいんだからな」
「来る! 明日も明後日も!」
シロにお墨付きを貰ったからこれで堂々と遊びに来れるんだ~。
良かった。
今日でこの場所とお別れにならなくて。
また明日!
池を振り返って、いつものあの鯉にそっと手を振った。
(完)
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