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眠り姫(白)-1(SIDE志朗)
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◎夕陽差し込む生徒会室。理性と本能の狭間で揺れる男ごころの行く末は!?
――――――――――
「ごめん、遅くなっ……た」
職員室に呼ばれて数時間、生指部長に頼まれた雑用から解放された頃にはとうに日は傾きかかっていた。
ったく、俺は生指部長の専属家政婦じゃないっての。
心の中で悪態をつきながら廊下を足早に駆け抜ける。
電気が点いていないから、もしかして帰ってしまったかなと思いながら生徒会室の扉を開けると、葵琉はソファーに身体を沈めて眠っていた。
そりゃそうだよな。
もう7時になるんだから待ち疲れて寝てしまうのも仕方がない。
寝息を立てる葵琉の側へ寄ると、いつも使っている柑橘系の香りとは違って塩素の匂いが鼻に届いた。
今日は水泳の授業があったのか。
プールに入った日はいつも以上に体力を消耗するから、どうしても眠くなってしまう。
起こすのも何だか可哀想でどうしようか迷いながら葵琉の隣に腰を下ろすと、机の上にある鏡と整髪料が目に入った。
プールで崩れたセットを直そうとして寝てしまったんだな。
決して自惚れているわけではないけど、葵琉のオシャレに注ぐ情熱のベクトルが俺に向いているのは知っている。
だけど、そんな事をしなくても俺はこうしてありのままのお前に一番心を惹かれるんだけどな。
起こさないようにそっと髪を手で鋤くと、いつものサラサラとした手触りではなくパサッとした毛束が指に引っ掛かる。
「ん……」
軽く身動ぎをした葵琉は目を覚ましはしなかったが、ソファーの肘置きに寄り掛かっていた身体がグルンと動いて俺の方を向いた。
その格好を見て思わず心の中でため息が出てしまう。
ネクタイはカバンの中にでも入れてあるのか、シャツの襟元が大きく開いていて鎖骨はおろか胸元まで丸見えだ。
「まったく……」
いつも言ってるだろ、ちゃんとボタンを上まで留めなきゃ駄目だって。
世話のやけるやつだな。
ボタンを留めてやろうと、胸元まで大きく開いた白いシャツに手を伸ばした。
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