アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
眠り姫(白)-2
-
俺は何をしている!?
シャツのボタンを留めてやろうと伸ばした筈の手は何故か、ちゃんと留めてあるボタンに掛かっていた。
トクン――。
ボタンをひとつ外すたびに、心臓が大きく音を立てる。
トクン――。
俺は……、俺は最近以前にも増して細くなった葵琉の身体が心配でちょっとだけ確認したいんだ。
決して疚しい事をしようとしているわけではないんだ。
だけど今、葵琉が目を覚ましたら言い訳のしようがないな。
ボタンが全部外されてしまったシャツは左右に分かれて音もなくソファーに滑り落ち、プールで日に焼けても尚白い肌が顕になった。
また痩せたな……。
この間一緒に風呂に入った時よりも確かに腰回りが細くなっていて、ちょっと悲しくなった。
どうせまた「可愛くありたい」って思って、おやつを我慢したり夕飯を減らしたりしたんだろう。
葵琉は太りにくい体質だから人よりちょっと多めに食べるぐらいでちょうどいいのに。
無理しなくてもいいんだよ。
心の中でそう語りかけながら、額に掛かる前髪を指で鋤いた。
いっぱい食べてもうちょっと逞しくなってくれたほうが俺も安心だから。
生まれた時から沢井流の世界に生きてきた俺が知っている身体は、筋骨隆々とした男の身体ばかり。
早々と沢井流から離脱した次兄のユキは例外だけど、それでもこんなに華奢ではない。
千代紙で作った紙風船のように繊細で儚げな葵琉を見ていると時々不安になる。
今夜は、おふくろに巨大なトンカツでも揚げて貰うかな。
大好物のトンカツなら葵琉もしっかり食べてくれるだろう。
おふくろに言ってご飯と味噌汁も大盛りにして貰おう。
いつも美味しそうにトンカツを頬張る葵琉の姿を思い浮かべると自然と笑みが溢れた。
さあ、健康チェックはもうおしまいだ。
あとは元通りにボタンを留めてやるだけだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 86