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沢井家のお正月-1(SIDE志朗)
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◎年末年始もゴーイングマイウェイな兄弟子に振り回されます!
――――――――――
「はぁーーーっ!?」
悠夜兄さんから送られて来たメールの内容があまりにもぶっ飛び過ぎていて、思わずスマホをぶん投げそうになった。
兄弟子の突拍子もない思い付きにはこれまでも振り回されまくってきたけど、これはあんまりだ。
記念日とか特に気にする方ではないけど、お正月ぐらいは誰にも邪魔されず葵琉とのんびり過ごす筈だったのに。
スマホを叩きつけようとした手の方は理性で抑えたけど、そのせいで抑えが効かなかった口は勝手に文句を垂れ流す。
「何で……何で元旦から……」
「どしたの、シロ?」
俺のベッドに寝そべって漫画を読んでいた葵琉が顔を上げたから「ほら」とメールの画面を見せてやる。
『明日の朝10時から餅つきするから、杵と臼用意して道場に集合な』
ウサギがウインクしている絵文字が添えられているけど、可愛いなんて感情は微塵も沸いてこない。
下にスクロールすると『追伸』の文字が現れた。
『あと、餅米とこしあんも要るからな』
「悠夜おじちゃん、お汁粉食べたいんだね」
「だな」
「俺、きなこ餅がいい」
「いやいやいや、餅つきなんてやらないからな」
「やらないの?」
「何が楽しくて年明け早々に男二人で餅をぺったんぺったんやんなきゃいけないんだよ」
そんな事に費やす時間があったら葵琉を連れてどっかに出掛けた方がよっぽどいい。
葵琉が自分の顔を指差すから三人ならいいかと一瞬グラッと来かけたけど、やっぱり無理だ。
「二人でも三人でもやなもんはやだよ」
そもそも、杵と臼なんて一般家庭の物置にあるわけないだろう。
そう言って断ろう。
道具がなけりゃあの人もすっぱり諦めるだろう。
早々とメールの返信をしかけて、待てよと手が止まる。
確かに一般家庭には杵と臼なんてあるわけない。
だけど、うちら一般家庭じゃなかった。
曲がりなりにもお寺の子だった。
昔は檀家さんが集まって餅つきをしていたというから、蔵を探せば餅つき道具一式があるんだろう。
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