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牛印の石鹸で煩悩を洗う-1
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◎牛印の石鹸で煩悩を洗う
葵琉が志朗と付き合い出して半年ほど経った頃のお話です。
志朗と映画を見に行く約束をしていたのに、虎太郎と行く事になって!?
――――――――――
カーテン越しに射し込んで来るあたたかな朝陽に誘われて、充電器に立ててあるスマホに手を伸ばした。
なぜかアラームが鳴る少し前に自然と目を覚ます。
見た目もや性格も思いっきり起きが悪そうだってよく言われるけど、一発で起きれるのが実は自慢だったり。
パジャマのまま階段をトコトコと降りてダイニングに用意されている朝食をチェックすると、今日は蜂蜜がたっぷり掛かったシナモントーストだった。
両親がチョコレート職人という家系のせいか俺の育ってきた料理はどうしても甘いものに傾きがちなんだ。
こんな食事を10年以上続けていても何故か全く太らないのを知った人はみんな「化け物だ」って言うけど、化け物ってのはシロとか悠夜おじちゃんみたいなのを言うんだと思う。
電気ケトルのスイッチを入れてからお湯が沸くまでの間に顔を洗って、昨夜用意しておいた服に着替える。
ケンカしていたシロと仲直りのデートに映画を見に行く……筈だった。
のに、肝心のシロに急な代講が入ってどうしても来れなくなったんだ。
俺はシロが来ないんならそのまま流れて良かったのに、前売りのチケットが勿体ないからって代わりに虎太郎が来る事になった。
面倒臭いなー。
シナモンたっぷりのトーストをカフェオレで流し込みながら頭の中でため息をつく。
親しい人間以外とはあまり話さない人だから、顔見知り程度の虎太郎と出掛けるというのは少々……いやけっこう苦痛だ。
今回は映画だからとりあえず2時間かそこららは黙ってスクリーンに目を向けて居られるけど、そもそも虎太郎と何を話せばいいのかわからない。
虎太郎が代講に行ってくれたらいいのにと思ったけど、今回は他の支部との合同稽古でどうしてもシロじゃないと駄目なんだとか。
シロと行きたかったな。
シロから悠夜おじちゃんか虎太郎か選ばされてどっちも気乗りがしない中でまだ年が近い方が話も合うかと思って虎太郎にしたけど、どうせならおじちゃんと虎太郎で行って来たらいいのに。
空のお皿を流しに置きに行ったところで玄関のインターホンが鳴らされた。
時計を振り返ると約束の9時ピッタリ。
この正確っぷり、あいつは絶対A型だ。
「おはようございます! 葵琉先輩」
「!」
ドアを開けた瞬間、目の前に立つ人間の格好に目を剥いた。
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