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コタの黄帯物語-1(SIDE志朗)
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◎コタの黄帯物語
入門したての可愛がって貰える時期を自ら放棄するドMなコタの小話です。
――――――――――
「お前さー、虎太郎が生意気じゃなくていい子だって言うけど昔のあいつは沢井流が始まって以来の問題児だったんだぞ」
「嘘?」
「本当だよ。あいつには黒歴史だから誰にも言うなって言われてるけど内緒にするならお前だけに教えてやってもいいけどな」
「内緒にする!」
「約束出来るか?」
「約束!」
虎太郎の黒歴史ストーリーの始まり始まり~今から数年前、志朗が二段で師範代だった頃の沢井流に一人の少年が入門した。
少年の名は小池虎太郎。後に沢井流を引っ張っていく存在になろうとはその時の道場生は誰一人として想像もしなかった。
「お前、入ったばかりだから帯は白だろ」
「嫌だ。この色がいい」
「黄色貰えるのは1年後なんだって」
「嫌だ」
頑として黄帯を放そうとしない虎太郎に兄弟子たちは手を焼かされていた。
兄弟子が3人がかりで引っ張っても虎太郎が両手に巻き付けているのでびくともしない。
そこへ志朗が入ってきたので兄弟子たちがこぞって駆け寄る。
「志朗兄さん聞いてくださいよ、こいつ……」
兄弟子は志朗からガツンと言って貰おうと試みる。
「虎太郎くんだっけ? 初めての子は白の帯なんだよ」
「嫌だ」
面倒な事が嫌いな性格は昔から健在だった志朗なので「まぁいいんじゃない? 本人がどうしてもっていうのなら」と、その場は黙認して練習を始めた。
しかしこれがのちのち波乱を呼ぶことになる。
不満を隠せなかった兄弟子の一人が道場長である志朗の祖父に言い付けたのだ。
道場長の叱責の矢面に立たされたのは当事者の虎太郎でもなく兄弟子でもなく志朗だった。
志朗に下された処分は先立って行われた昇段の合格を取り消すというもの。
それに怒りを覚えた兄弟子軍団が虎太郎を詰る。
「お前のせいで志朗兄さんが昇段出来なかったんだぞ」
「今度から給料貰える筈だったのに」
「そうだそうだ。志朗兄さんの1年を無駄にしやがって」
「おい、みんな。こいつを蔵に閉じ込めようぜ」
沢井家の蔵に虎太郎を引っ張っていく。
虎太郎はみんなに謝るけど誰も耳を貸さない。
泣きながら謝る虎太郎を蔵に放り込んで外から閂を掛けてしまった。
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