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ゆきごころ-5
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「今までずっと心に仕舞って来たのですが何故か貴方になら話してもいいような気がします」
穏やかそうに話すこの人とは対極に俺の心は波立った。
「何それ!」
初対面の人相手にいきなり声を荒らげるのは大人げないけど形振り構っていられない。
「何で? シロと何があったの!!」
「志朗は……私の恩人です」
掴みかからんばかりの俺を前にしてどうしてこの人はこんなに冷静でいられるのか。
「志朗は……」
「葵琉!」
「シロ!」
「志朗」
振り返ると道着姿のシロが立っていた。
「ユキに遊んで貰ってたの?」
うん?
ユキ……ユキ……その単語を何処かで耳にした覚えがある。
それどころか「ユキ」って単語に反応した脳内から何故か焼き肉の匂いが漂ってきた。
これは便利だ。お小遣いがピンチの時に「ユキ」で白ご飯を頂ける。
……じゃなくて。
「あーっ!」
思い出した!
いつだったか銀先輩に焼き肉連れてって貰った時に聞いたんだ。
「どうしたの?」
いきなり叫んだ俺を見てシロが怪訝な顔になる。
「どうもしない」
あれだ、虎太郎から重箱に入ったお節って言われてた人だ。
何か武将みたいな名前の人に似てて。
何だっけ? 伊達政宗じゃなくて、上杉謙信でもなくて……平清盛……平将門……源頼朝……あ!
思い出した! 義経だった。
重箱に入ったお節ってどんなやつだと思ってそのフレーズが1年以上経った今でも頭の隅にこびりついてた。
でも、今日めでたく重箱お節こと「ユキ」に面通り出来たからお節発言も悔いなく成仏してくれるかも。
「それよりさ、さっきの『恩人』って何だったの?」
俺が話を戻すとユキは「またご縁があったらお話ししましょう」と去ってしまった。
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