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闘神さまが微笑った-2
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「微笑ったのにな……闘神さま」
昇段審査の日から闘神さまのところには行ってない。
俺が実力の違いすぎる虎太郎に勝てるなんてミラクルが起こるわけはなかった。
「いちど試験にチャレンジして駄目だったら潔く諦める」
そう宣言してたから俺はその日のうちに退会届を出した。
闘神さまはやっぱり微笑ったりしなかったんだ。
あれは俺の目の錯覚だったんだ。
シロの部屋でいつものベッドじゃなくて畳に寝そべってるとシロがタオルケットを掛けてくれた。
枕を二つ並べて「たまには下で寝るのもいいな」ってタオルケットに潜り込んで来たら顔がかぁっと熱くなる。
耳まで赤くなってるのを隠したくて反対を向くと「何だよ~、さっきのユキとの内緒話といい俺ばっかり除け者にして」って肩をグラグラと揺すってきた。
今日の俺はナーバスなんだよ!!
全くシロは男ごころが分からないんだから。
そんなんだから悠夜おじちゃんから「永遠の童貞・シロ」って道場の掲示板に貼られるんだ。
その時の光景は何度思い出しても笑えてくる。
「何これ?」
シロが掲示板に昇段審査のお知らせを貼るのに何となく付いてきてみたらチラシの裏にマジックで書かれたメモを見つけたんだ。
そんな事する人間は一人しか居ないからもちろんすぐにバレて「うちは小学生のクラスもあるんですよ!! 子供たちが見たらどうするんですか!!」って怒られてた。
「別にお前の事じゃないぜ。うちの犬シロってんだよ」
「あの黒いラブラドールがですか?」
「そうだぜ。いい名前だろ?」
悠夜おじちゃんがえへんと胸を反らしたとこへ、小学生クラスが終わって生徒たちがゾロゾロと出てきた。
「悠夜先生~、これ何て読むの」
「俺知ってる! 永野の永だよ! なが、なが……あ、遠足の遠だから『ながえん』の……これ何だろ」
「どうて、ぶふっ」
高学年の子の口を掌で塞いだシロは「次習う型で、この動作が出てくるから覚えておくように。今度テストするからな」って言いながら器用に反対の手で貼り紙をクシャクシャって丸めた。
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