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小鳥との日常3
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小鳥と尊が暮らすマンションは、大学から歩いて約10分。
学校からの帰り道、小鳥から説教をされるのは、もはやお迎え後の習慣になっている。
「尊、最近また女遊びが酷くなっただろ。遊び相手はもうちょっとちゃんと選べ。誘われるままに手を出すからこういう事になるんだ。」
尊を咎める、遠慮のない言葉が飛んでくる。
しかし小鳥は、ぼんやりと、抑揚のない話し方をするので、きつい事を言っていても、あまり刺々しく聞こえない。
「遊ぶなとは言わないんだ?」
「言ったって、聞いてくれないって知ってるから。」
隣を歩く、小鳥のつむじを見下ろしながら問いかければ、そっけない返事が返される。
どうやら、ご機嫌ななめらしい。
「一応、相手は選んでるぞー?最初に、割りきったお付き合いでもいいですかって聞いて、いいですよって答えた相手にしか手は出してない。」
それなのに、しばらくするとたいていの女が、やっぱり尊が好きだと言い出して揉める事になる。
そもそも皆、尊が遊び人なのを知ったうえで声を掛けてきているはずなのに、どうして本気で尊を好きになるのか理解出来ない。
「小鳥もさっき言ってたけど、俺は皆に可愛いって言うし、会ってる時は優しくする。皆にそうなのに、何でそれで期待とかするんだかなぁ?」
そう呟くと、小鳥がこちらを見上げ、ぼんやりとした瞳でじっと見つめてくる。
「……お子様。」
「何だよいきなり。」
小学生にお子様とか言われてしまった。
「皆にそうだから、誰のことも、まだ特別じゃない。だったら、自分が特別になれるかもって…きっと、そんな風に思って、あの人達は尊に近づいたんだ。」
「ふーん…そんなもんですかねぇ?」
小学生相手に、こんな大人の男女交際について話すのは、情操教育上、大変よろしくない。
よろしくはないのだが、もはや取り繕うのが不可能なレベルで小鳥には色々と知られてしまっている。
それに小鳥は時々、12歳とは思えない、驚くほど大人びた考えを口にする子供なので、ついつい本当は話さない方が良いような事でも話してしまう。
かと思えば、5歳児でももうちょっとしっかりしてるんじゃないかという、子供じみた面もあり、何とも不思議な弟だ。
弟…といっても、血は一滴もつながっていないのだが。
マンションに着くと、真っ直ぐにキッチンへと向かい、手を洗って、小鳥のおやつの準備にかかる。
ミルクを鍋で暖めていると、小鳥が後ろから抱きついてきた。
尊の腰の辺りに手を巻き付けて、ぴったりとくっついて動かない。
よくある事なので、そのままにして、黙々と作業を続ける。
用意が出来た、はちみつ入りのホットミルクと紅茶のシフォンケーキを、小鳥を背中にくっつけたままリビングへと運ぶ。
シフォンケーキは尊の手作りだ。小鳥の大好きな生クリームをたっぷり添えて、盛り付けも完璧。
「ことりー?おやつ出来たぞ、食べないのかー??」
「…食べる。」
背中にくっついていた小鳥をソファーに座らせ、自分も隣に腰を下ろす。
「はい。」
そう言って、小鳥がフォークをこちらに差し出した。
食べさせろという事らしい。
これもよくある事なので、はいはいと言って、フォークを受けとると、小鳥が口を空けて待機する。
ケーキを小さく切って、生クリームをたっぷり付け、小鳥の口へと運んだ。
「旨いかー?」
「美味しい。」
一口食べ終わると、また小鳥が口を空けて待機するので、せっせとケーキを切って口へと運ぶ。
与えられるままにケーキをもさもさと食べる小鳥は、雛鳥のようで愛らしい。
可愛いなと、ほのぼのした気持ちで眺めていると、ケーキを食べながら、いつも通りのぼんやりとした瞳で、小鳥がじっとこちらを見つめてきた。
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