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小鳥との日常4
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「おーい小鳥?もう食べないのか??」
尋ねれば、ふるふると首を降り、尊の手からフォークを取って自分で食べ始めた。
気まぐれで、マイペースで、小鳥は何を考えてるのか分からない事が多い。
でもそんな所もたまらなく可愛いと思う自分は、世で言うところの、ブラコンというやつなのだろう。
「尊に、聞きたい事がある。」
ケーキを頬張りながら小鳥が言う。
「尊はさっき、女の人に言ってた。告白したら、きちんと断るって。」
「あぁ、言ったなー。それが、どうかしたのか?」
口の端に付いた生クリームをぬぐってやりながら、何の気なしに尋ねる。
「俺は尊に告白した。でもまだ返事をもらってない。何でだ??」
……しまった。地雷を踏んでしまったようだ。
確かに自分は先日、目の前の弟に告白された。
恋愛感情として尊の事が好きだと、小鳥にしては珍しい、はっきりとした口調で言われた。
しかし、本気にできるはずもなく、兄弟愛を勘違いしているだけだと笑って流していたのだが、どうやら小鳥は本気らしい。
ケーキを食べる手を止めて、小鳥の手が尊のシャツの袖を掴む。
ギュッと強く握られた手から、きちんと尊が返事しない限り離さないという、無言の意思がひしひしと伝わってくる。
今でも、小鳥の言う好きは、兄弟愛を恋愛感情と錯覚しているだけだとは思う。
だが、きちんと答える事で小鳥が納得するのならばと、小鳥に手を伸ばし、自分の膝の上に抱き上げた。
向かい合って視線を合わせる体勢にすると、小鳥に語りかけた。
なるべくゆっくり、言い聞かせるように。
「小鳥の気持ちは嬉しいし、俺も小鳥が大好きだ。でもそれは弟としてで、恋愛感情じゃない。」
泣くでもなく、怒るでもなく、小鳥は黙って話を聞いている。
こんな時でも、相変わらずの無表情。
何を考えているんだか、検討もつかない。
「どうして恋愛感情じゃないと言い切れるんだ?」
小鳥独特の、ぼんやりとした話し方で、質問が投げ掛けられる。
「そりゃあ、弟だし?」
「血はつながってない。」
「いや、でもほら小鳥は男の子だし?」
「尊はこないだ、男にも手を出していただろう。」
何やらどんどん追い詰められている。
困った、予想外の展開だ。
「あぁ!ほら、小鳥は小学生だろ?小学生は俺の守備範囲外なんだ。というか、成人男子が小学生に手を出したら、もうそれ犯罪だから!」
「……そうか。」
小鳥からの反撃が止んだ事に、ひとまずほっと胸を撫で下ろす。
「ちなみに、尊の守備範囲は何歳からなんだ?」
「んーまぁ、高校生くらい?」
高校生…と、ぼんやりと呟いた後、小鳥は何やら納得したらしく、コクコクと小さく頷いた。
「わかった。」
「おー、分かってく……」
分かってくれたか、と続くはずだった言葉が、不意に唇に当たった柔らかい何かによって遮断される。
何か、などと言っているが、その正体は明かだ。
明らかなはずなのに、突然の出来事に驚きすぎて、思考がうまく働かない。
目の前に広がるのは、目を閉じた小鳥の顔。
あぁ、やっぱこいつ睫毛長いなぁなんて、呑気なことを考えて、思わず現実逃避する。
感じる、柔らかな感触の正体は、小鳥の唇。
小鳥に、キスをされている。
やっと思考が状況に追い付いた。
しかし、どうしていいか分からず固まっていると、そっと小鳥が顔を離した。
「しょうがないから、あと4年待ってやる。」
「なっ!?は!??何がっ」
慌てる自分とは対照的に、小鳥はやっぱりマイペースで。
「4年経てば、高校生になる。俺は、ものすごい美人に育つ予定だから、面食いの尊は、きっと俺が好きになる。」
予想外の展開続きでパニックのこちらなどおかまいなしで、小鳥は、どこまでもマイペースに話を進める。
「4年の間におとすから覚悟しておけ。今のは宣戦布告だ。」
そう言って、満足そうに微笑む小鳥。
小鳥が、これ程はっきり分かる笑顔を浮かべる事はめったにない。
とんでもなく可愛い。
そりゃあもう、携帯の待受にして、毎日眺めたいくらいに可愛い。
可愛いけれど、出来れば違った状況で見たかった。
言うだけ言って満足したのか、再びもさもさとケーキを食べ始める小鳥。
唇に残る、生クリームの甘い匂いを感じながら、どうしてこうなったんだかなと、途方に暮れた。
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