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小鳥の夏休み19
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「ことりーん、薫さん達来たから着替え終わってんなら衣装持ってくぞー?」
丁度、服を全部脱いだ所で部屋に静が入ってきて小鳥の衣装を回収する。
「バーベキュー、もうすぐ始めるからちゃっちゃと服来て外に出てこいよー。」
ニカッと明るく笑って静は早々と部屋から出ていった。さっき空腹だと騒いでいたので、バーベキューが待ち遠しくて仕方ないのだろう。
さっさと着替えてしまおうと部屋を見渡し、はたと固まる。
「…服がない。」
いつものごとく尊が暴君っぷりを発揮して急遽宿泊が延びたが、本来であれば今日中に軽井沢から出るはずだった。
昨日のうちに着替えなどの荷造りは済ませていて、すべてリビングに置いてある鞄の中だ。
小鳥が今居るのは尊と小鳥用に割り振られた部屋なわけで、困ったことにここには小鳥の服は1着もない。
荷造りしたのは尊なので、リビングへ行った所で自力でスムーズに服を見つけられるとも思えなかった。
多分、というか絶対に荷物を片っ端からひっくり返してぐちゃぐちゃにしてしまうだろう。
「…まあ、いいか。」
幸い季節は夏で、しばらく下着姿のままで居たところで寒くも何ともない。
小鳥がなかなか外へ出ていかなければ多分尊が様子を見に来るだろうから、その時に服を頼もうと、ゴロリとベットに寝転ぶ。
すると、無造作に脱ぎ捨てられた尊の白いシャツが目にとまった。
そういえば別荘へ戻ってきてすぐ、暑いといって羽織っていたシャツを脱いでいた。
ふと、撮影見学の帰り道に静がしていた話を思い出す。
“彼シャツのあの何とも言えない色気は男には堪らないよなー。男で彼シャツが嫌いなやつなんて居ないっ!”
“彼シャツは男の夢だ!!あれ見てムラムラしない男は居ないと俺は思うな。”
「……。」
男は皆好きだというのを信じれば、尊も彼シャツが好きということだろうか。
白い半袖シャツを手に取り、そっと羽織る。
ボタンをとめて、全身ミラーの前に立った。
「……てるてる坊主?」
ダボダボの白いシャツに覆われた自分の姿を見て、小鳥の感想はそれしか思い浮かばない。
第二ボタンまでとめたのに、肩がずり落ちそうな状態の首回り。
身長差のせいで、膝の少し上ほどまであるシャツの丈。
長すぎてぶらぶらと揺れそうなほどに余った袖。
さすがに邪魔なので4回ほど折り返してみたが、それでもかろうじて指先が出る状態だった。
色気とやらがどんなものかはよく分からないが、今の小鳥の姿を見せて、尊を欲情させられるとは思えなかった。
やはり、彼シャツの効力を発揮させられるのも高校生が最低ラインなのだろうか。
そっとため息をついて、またボフンとベットに体を沈める。
仰向けに寝転び、そのままぼうっと天井を眺めていると、部屋の外で幸の鳴く声が聞こえた。
ケージに入れて外で待たせていたはずなのにと不思議に思いドアを開けると、こちらに向かって幸が飛んできた。
「幸、一人で来たのか?」
「ピッ!」
きちんと扉を閉められていなかったのか、どうやら脱走してきたらしい。
「迎えに来てくれたのか?ありがとう。でも、皆が心配するから一緒に外に行こう。」
肩の上に幸を乗せ、部屋の外へ出る。
ケージが空なことに誰かが気付いたら騒ぎになるかもしれない。
そうなる前に、皆の所へ戻さなければ。
ちょうど呼びにこようとしてくれていたのか、玄関の扉を開けると、目の前に尊が立っていた。
ぶつかる寸前の近い距離間にお互い一瞬目を見開いた後、瞬きする。
「わぁー、小鳥君ずいぶんと刺激的な格好してるねぇ。」
尊の後ろに居た縁が、小鳥を見てにこにこと笑う。
その隣には助も居たが、縁とは反対に何かまずい事でも起こったかのように、表情をひきつらせていた。
「…尊?」
小鳥を凝視したままピシリと固まっている尊を不思議に思い、目の前に手のひらをかざして左右に振る。
すると、我に返った尊にがしりと肩を掴まれた。
「何でそんな格好してるんだ!」
「他に部屋に着るものがなかった。」
「あー…昨日全部荷造りしたからかぁっ…けどだからってシャツ1枚でふらふら外にでるな!」
「…シャツ1枚じゃないぞ?」
あまりの尊の剣幕に、もしや他に何も身に付けていないと誤解されているのではと思い、シャツの裾をペラリとめくる。
「ちゃんと、履いてる。」
へそが見える辺りまでシャツの裾を持ち上げ、下着はきちんと身に付けていることをアピールしたのだが・・・・・
そこからの、尊の行動はとんでもなく早かった。
勢いよく小鳥のめくった裾を戻すと、助が羽織っていたシャツを有無を言わせず剥ぎ取り、そのシャツでむき出しになっていた足を隠すようにグルグルと巻かれる。
尊はそのまま小鳥を抱き上げ、すっぽりと胸に包み込んだ。
あまりの勢いに幸が驚き、小鳥の肩から飛び立って助の肩へと避難する。
「助、皆に先にバーベキュー始めててくれって伝えといて。」
「…了解。」
それだけ言うと尊は小鳥を抱えたままずんずんと別荘の中を進んでいく。
「いってらっしゃーい。尊、お説教もほどほどになー!」
ぶんぶんと手を振る縁に、小鳥も小さく手を振り返しながら、一体自分は何についてお説教をされるのかと首を傾げた。
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