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小鳥の夏休み20
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2階の部屋まで運びベットに降ろすと、不思議そうな顔で尊を見上げる小鳥。
そのキョトンとした表情からは、今から尊に何について説教をされるのか検討もついていないことが伝わってくる。
抱えて運んでいる際にシャツがずれ、剥き出しになってしまった肩やら太ももやらを見て、尊はため息をつきながら小鳥の隣に腰を降ろした。
「…尊。」
「何だ?」
「ため息をつくと幸せが逃げるぞ?」
「誰のせいだと思ってんだよ。」
「…俺か?」
また深くため息をつく尊の頭を、労うように小鳥が撫でる。
ため息の原因が自分だということは理解しているようだが、その理由までは絶対に理解できていない。
で、俺は何についてお説教されるんだ?といつも通りのぼんやりとした顔で問われ、尊はこめかみを押さえた。
着替えに行ったきり中々戻って来ない小鳥を呼びに行こうとしたら、俺も小鳥君に挨拶に行くー!と何故か縁もついてきて。
携帯を充電したいと言う助も加わり、3人で別荘の中へ入ろうとしたところ、玄関の扉を開けると小鳥が立っていた。
そして、尊のだぼだぼのシャツ1枚というその姿に愕然とした。
惜しげもなく晒された透き通るように白くて細い足、華奢な肩。
あまつさえ、シャツ1枚で出歩くなと注意する尊に、下着も履いていると言って躊躇なくシャツの裾をめくりあげて見せた。
ここが家で、その場に居たのが尊と小鳥の二人だけならこんなに焦ったりはしない。
けれど現状はそうではなく、小鳥のあられもない姿を、縁や助にもしっかりと見られてしまったわけで。
「小鳥さん。」
「…何ですか?」
突然真面目な顔をして、さん付けで呼び掛けると、小鳥はのろのろとベットの上に正座して敬語で返事をしてくる。
「もう少し警戒心を持とうか。」
「警戒心?」
尊の言葉をおうむ返しして首を傾げる小鳥に、諭すようにじっと目を見て話しかける。
「そんな無防備な格好をほいほいと他人に見せるな。」
「…この格好は無防備なのか?」
「そうだ。いかがわしい事されたらどうするんだ。」
至極真面目に力説するも、小鳥は納得がいかないようでまた首を傾げる。
「…てるてる坊主にいかがわしい事なんてしたくならないぞ?」
「おい待て、何だてるてる坊主って。」
すかさず突っ込みを入れると、小鳥がベットの上で立ち上がった。
「似てるだろう?」
少し腕を広げてその場でくるくる回って見せる小鳥。
動きに合わせて、ヒラリヒラリとシャツが揺れて細い太ももが露になる。
ぼんやりと無表情でくるくる回る小鳥はとんでもなく可愛い。
可愛いけれど、その幼い行動と、チラチラのぞく思わず手を伸ばしたくなるような艶かしい白い肌とのギャップに何とも言えない色気があって。
「こんな危うい色気のあるてるてる坊主が居てたまるか。」
小鳥の腰を掴んで動きを止めると、そのまま膝の上に抱き上げた。
向かい合う体勢で雀色の瞳を真っ直ぐ見つめ、改めて注意をする。
「小鳥、そんなやらしい格好を簡単に他人に見せるな。」
「…やらしい?」
「そうだ。変なことされたらどうするんだ。」
そう言うと、小鳥は少し驚いたような顔をした後、何故かキラキラと瞳を輝かせた。
注意をされているという状況に似つかわしくない小鳥の反応。やはり、小鳥の考えは全く読めない。
「尊は、この格好がやらしく見えるのか?」
「…いや、まあそうだけど?」
「尊も、やらしいこと、したくなるのか?」
「……ッ!」
予想外の質問に、思わず言葉に詰まる。
正直、扇情的だとは思うし、手を出したくならないと言えなくはない。
けれど、一般論としてではなく尊一個人の意見としてそれを素直に認めて小鳥に言うには抵抗がある。
何より、弟である小鳥相手に無意識にそんな事を思っていた自分に心底驚き、焦った。
尊の無言を肯定と受け取ったらしい小鳥は、高校生じゃなくても通用するのか…と、よく分からない事を呟いて満足気にうんうんと頷いていた。
「やらしいこと、しないのか?」
「やらねえよ!」
尊の首に腕をまわし誘ってくる小鳥にすぐさま反論して、話をどうにかお説教モードに切り替える。
「…とにかく、危ないからそんな格好で外をうろつかないように!」
「分かった、気を付ける…でも、ここには俺に変なことをしようとする人間はいない。だから、そんなに警戒する必要はないだろう?」
確かに、今別荘に居るのは尊の信頼する人間ばかりだ。小鳥に無理矢理いかがわしい事をするような危ない人間はいない。
けれど、だからといって小鳥の無防備な姿を見せても問題ないかと言えば、全くもってそんなことはない。
「それでも、ダメだ。」
「…どおしてだ?」
「俺が嫌だから。」
条件反射のように言葉が飛び出る。
我ながら暴君極まりない自己中心的な台詞だとは思うが、嫌なものは嫌なのだから仕方がない。
尊の言葉に、小鳥はまた驚いた顔をしてふわりと幸せそうに笑った。
めったに見られない、その蕩けるような不意打ちの笑顔にドキリと胸が高鳴る。
「独占欲と征服欲…。」
「ん?何か言ったか?」
小鳥が何か言ったようだが、尊の胸に顔を埋めてグリグリと擦り寄ってきた為うまく聞き取れなかった。
顔をあげた小鳥は、コツリと尊と額同士をくっつける。
「…尊。」
「なんだ?」
至近距離で機嫌の良さそうな小鳥に見つめられ、険しかった尊の表情も自然と緩む。
「尊が安心して手を出せるような、とびきり魅力的な高校生になるから、楽しみに待ってろ。」
小鳥独特のぼんやりとした心地よい声で、内緒話でもするようにそっと耳元で囁かれ、尊はお手上げだと言わんばかりにベッドへと倒れこんだ。
「もー何なのお前!どんだけ俺のこと好きなんだよ!」
「世界で一番。」
半ばやけになって叫ぶもそんな言葉を即答されて。
今度こそ説教なんて続けられなくなり、尊はギュウギュウと小鳥を抱き締めた。
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