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3.2
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「周りのお客様のご迷惑ですよ」
声の主の方を振り向くと、そこには峰塚さんがいつもの無表情で立っていた。
そして、俺の横をゆっくりと通り抜け、自分より大きい小太りのおじさんの正面に立ち、下から顔を見上げる。
「貴方のお気持ちもわかりますが、周りを見て下さい」
おじさんと共に、俺自身もゆっくりと周りを見渡す。
いつの間にか、俺達の周りには沢山のギャラリーが集まっていた。
俺達を中心に、話し声があちこちから聞こえてくる。
中には、腕を組んで貧乏ゆすりをしているお客さんも…。
「なんなんだね、君は」
「まぁ。私も、そのお客様の内の1人ですよ」
おじさんから少しも視線を逸らさず、真っ直ぐ見据える峰塚さんに、俺は目が離せなかった。
そんな周りの野次馬に耐えかねた、おじさんの顔は、みるみるうちに赤くなってゆき、握りしめた拳がぷるぷると震えだす。
「っー…もういい!こんな店、2度と来るか!他を当たる‼︎」
そう言い残し、おじさんはドスドスと音を立て、下に降りるエレベーターへと向かっていく。
俺は、慌てておじさんを追いかけようと足を踏み出すと、背後から峰塚さんに腕を引っ張られた。
「心配なら、上の奴を呼べ」
「あっ、はっ、はい!」
そんな騒ぎの中、声を聞きつけた店長が慌ててやって来て、小太りのおじさんに2人して、ただひたすらに頭を下げる…。
あー…こんな失敗、今までしたことなかったのに!
2週間前の俺!何してんだよ!
マジで恨む‼︎
あれ、そういえば、峰塚さんは…!
辺りをキョロキョロと見回したが、峰塚さんの姿はそこにはなかった。
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