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「以前、俺がヘコんだ時。峰塚さん俺に肩貸してくれましたよね」
「…ああ、そうだったな」
「俺、そのお礼がしたくて…。あの、こんなこと言うのもなんですが、俺の気持ち受け取っていただけませんか?」
「…」
「勝手なことばかり言って悪いとは思うんですが…」
「どうしても…ダメ、ですか?」
「…はぁ」
突き返された漫画は、俺の手の中で小刻みに震えていた。
頭を下げる俺に、峰塚さんは深い溜息をつく。
そして、以前の様にそっと頭を撫でてくれた。
「峰塚…さん」
「お前の気持ちを知らなかったとはいえ、その好意を突き返して悪かったな」
「あ、いえ!俺の方こそ…理由もキチンと話さずに、急にすみませんでした」
顔を上げて、峰塚さんを見ると。
いつも通り微笑んでくれる峰塚さんがいて、目頭が熱くなった。
「それにしても、よく取り置きさせてくれたな」
「実は、取り置きするのに、菅野さん…あ、このコーナーの担当さんにお願いしたんですよ」
「……」
「あれ、峰塚さん?どうしました?」
菅野さんという言葉に反応して、口元に手を置き、考え込む峰塚さん。
そしてハッとして、あの茶髪のオカッパ頭の女性店員さんのことかと口にする。
「…ああ、それで最近、あの女性店員とよく喋ってたんだな」
「そうなんです。色々と話してたら、しょうがないなって、請け負ってくれたんですよ!」
「そうか…そういうことなら、良かった」
「え?」
「いや、なんでもない」
「あ!そういえば!峰塚さんが、そんなにお気に入りならと思って、俺も自分用に一冊買ってみたんです!」
「え?」
峰塚さんの目の奥に少し光が灯った。
まさか、自分用にBL漫画を買っただけで、峰塚さんがこんなに喜んで?くれるだなんて…。
「あっ、でも手始めに『りゅう』さんの作品は…ちょっとキツイかも、しれないな」
「キツイ?」
この時、俺のBL漫画に対しての知識は、まだまだ浅かったことに、
後になって気付くのだった。
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