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「峰塚さん、お待たせしました!」
「…ん」
何時ものように閉店まで外で待ってくれた峰塚さん。
でも、今日は何だか様子がおかしい…。
ソワソワしながら、ポケットに手を突っ込んで、背中を丸めている。
あ、もしかして…
「いつもお待たせして、すみません。寒かったですよね!」
「…いや、今日は暑くなるって予報を鵜呑みにして、上着も持たずに薄着で出勤してしまった俺が悪いんだ」
ワイシャツにベストタイプのスーツを着こなした峰塚さんに対して、俺は冬用のダウンジャケットというスタイル。
あまりにも対照的だ。
こんな筈じゃなかったのにな…とボソッと呟きながら、峰塚さんは自身の身体をさすった。
「俺は天気予報とか見ないんですけど。直感で厚着してしまいました」
「今日は江野くんの直感が正解だったみたいだな。というか実際、予報見ても今日みたいに当たらない日が多いんだけどな」
「えっ、そうなんですか?」
「まぁね。それでも、見てしまうんだけど」
「習慣みたいなものですね」
「…ん」
「……峰塚さん」
白い吐息を吐き、手を温めている峰塚さんを、後ろからそっと、自分の着ていたダウンジャケットで包み込んだ。
自分のものより幾分も大きいジャケットを羽織った峰塚さんが、勢いよく振り返る。
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