アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7.2
-
「嘘…だろ」
峰塚さんのあんな仕草やあんな笑顔、今まで見たことがない…。
胸の奥で黒い何かが渦巻く。
何だろう、この胸のもやもやは…一体。
「ところでさぁ。後ろにいる君は、誰?」
話を聞こうと、いつの間にか近付いていたらしく、通路の真ん中に突っ立っていたことに気付く。
2人の視線が俺へと集まっていた。
「あっ、すみません。俺は…えーっと、ここの従業員で江野隼人と申します」
そうか。私服だから、店員ということはわからないのか。
2人のことジッと見つめてたし、変な奴だと思われたかな…。
「ああ、江野くん。話し込んで悪かった」
「いえ、俺の方こそ声掛けずに、すみません」
あ…。
何時もの無表情の峰塚さんだ。
さっき、俺が見た峰塚さんは見間違い…?
の様には見えなかったけど。
どうしてこの男の人には、あんな笑顔をみせるんだろう。
「江野くん。こいつは会社の部下で、双海って言うんだ」
「双海です、よろしく〜。つーか、お二人さん仲良いんだねぇ。これから、どっか行く予定なの?」
「あ、はい。今から一緒に夕飯を…」
「えっ、マジで?」
「ああ。この間、人気で予約出来ない漫画を取り置きまでして、買っておいてくれたんだ。だから、そのお返しに、な」
「ヘェ〜そうなんだ。碧が、そこまでするなんて珍しいな」
「ん?そうか?」
首を傾げて、不思議そうにする峰塚さん。
何故だろう…
この人の、ひとつひとつの動作が本当に可愛いと思う。
胸がきゅっとなるのをポーカーフェイスで誤魔化すので、必死だ。
「なんだよ、俺にだって奢ってくれたことねぇじゃん〜」
「ああ、そう言われると、そうかもな」
「ん〜…じゃ。この漫画、買ってくるから。ちょっと待っててくれる?」
ん?待ってて?
今、あの人、ちょっと待ってって言った?
俺より身長の高い後ろ姿が、レジに向かうのを見ていたら、隣の峰塚さんが深い溜息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 22