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「なんで、なんでだよ!」
雅也の肩を掴んで揺らす。
俺は焦っていた、混乱して…何も考えられなくなっていた。
「一緒に劇やろうって言っただろ!?だから一緒に演劇部入ろうっていったのに…なんで病院に行かなかったんだよ!」
雅也の首は安定せず グラグラ俺が揺らす度 首が前後した。
「ちょっと…っ!なお!」
母さんに止められるが 俺はお構いなしに雅也を揺らした。
「なぉきが なにぃってんのか…わか んなぃけど…。怒らなぃで…」
声が小さくて あまり聞き取れなかった。
俺は、手を止めて メモに書きなぐった。
『なんで病院行かなかった?』
それを見ると 雅也は…黙り込んだ。
「ぉ、金なぃ」
そうだ。
雅也は…、金に恵まれた子ではなかった。
父親は事故で亡くなり 母が女手一つで育てられ 母は朝から夜まで仕事。
金に困り まだ借金も残ってるって聞いた。
多分…一週間位前から難聴になり始めていたのだろうが…
言えなかったんだよな。雅也は。
ずっと、聞こえなくなるのをただ何もできずに過ごしていたんだ。
怖かっただろうに 聞こえなくなっていくその恐怖を表に出さないようにしていたのだが…。とうとう…。
雅也の行動は正しかったのか?
雅也は一人で抱え込んでいた。
言う人、頼れる人がいなかった。
誰にも話せなかった結果がこれだ。
雅也は 今までに一度も見たことのない絶望した顔で 俯いていました。
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