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やはり、教室に入るには抵抗があった。
雅也のこともあるし、耳も…。
雅也は、ドアの前で 胸に手を当て 早くなる心臓の音を感じていた。
一番 緊張しているのは雅也だ。
俺が…なんとか出来たらいいのだけれど…
「大丈夫だから。俺が雅也を守るから」
雅也の前でパパパっと手話をする。
と、雅也はすっげー可愛い顔でニコっと笑った。
雅也は、前まで手話なんて全然知らなかった。
耳が聞こえない通りすがりのおばちゃんに道を教えてくださいと手話で言われたけど 雅也はわからなくて 泣きそうな顔で俺に救助を求めてきた。
それくらい、知識は皆無だったのに…
自分の耳が聞こえなくなるにつれ…あせてって勉強したんだろうな。
胸が痛い。
「もう…何も聞こえないから…、怖くないよ。」
そう言って、自分から教室の扉を開いた。
クラスはやはり変わらなかった。
雅也に向かって投げつける暴言や非難の声に 俺は苛立ちを隠しきれなかった。
でも、雅也は平気だった。
何も聞こえないのだから。
でも、さすがに…聞こえないからといって感じてないわけじゃない。
ずっといたら…苦しくなる。
『部室、開いてるから…少し練習しに行こう?』
時間ならまだいっぱいある。
雅也は、なんで?と言ってるかのように首をかしげながらも、最終的にはこくりと頷いて俺の後ろについてきた。
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