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部室を開けると朝の静けさが残っていた。
誰もいないこの部屋は、いつもより広く感じた。
役の衣装や題材 がいっぱいな部屋は 部員が集まるとすぐに狭くなる。
「第一パート。…やるか?」
手話を読み取ると 雅也は心配そうな顔をしながらも頷いた。
…………………………。
「綺麗な指輪ね、お兄様」
手を上にかざしてうっとりとした表情を浮かべ 役に入り込む。
俺の役は 耳の聞こえない女の人役…。
第一パートではまだ耳が聞こえている状態だから普通に演じれる。
次は雅也の番。
「あっ、…おぉうよ、なんだって、おまぇのためえに…よういしたの、から…」
雅也は俺が言い終えるタイミングがわからなかったのか、慌てた様子で役に入るが、耳が聞こえてないのと、焦りで噛みまくる。
「ごめん…なおと」
しゅーんと…小さくなった雅也をとっさに駆け寄りギュッと抱きしめた。
そして、離れると
「できるよ、雅也なら。頑張ろう」
と、手話をした。
雅也は、ガキみたにわーわー泣きわめいて また俺に抱きついた。
その雅也は、小さい頃すごく泣き虫で よく泣いていた。
俺がいつも慰めて 大丈夫大丈夫って言って背中をなでてあげた。
雅也は悪くない。
なんで、雅也ばかりこんな目に合うんですか。
神様。
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