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target3-20.公開処刑
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それぞれ感嘆詞を言って納得する一同にため息が漏れる颯都。
納得出来る箇所は何処にも見当たらなかった。
「あのな、二人共。俺じゃなくもっと別の適役が……」
苛立ちを落ち着かせ意見を申そうとしたら遮られる。
「ダメだよ!颯都お兄ちゃんの受けじゃなきゃっ!」
「そうだよ!男前受けはスッゴいエロいんだよっ?」
一瞬、嫌な言葉が聞こえた気がしたのは気の所為だろうか。
そう思いながらとりあえず確認を行う。
「…誰が受けだって?」
「「見てみれば解るよ!ほらっ!」」
目の前に再び見たくない物体を差し出された。
どうやら表紙で拒否反応を起こしている颯都に、中身を確認して欲しいらしい。
しかも表紙からすれば、自分と嫌いな相手が絡む"何か"な可能性が高い。
颯都は、無言で立ち上がる。
「…仕事が残ってるのを思い出した」
「逃げるのか?」
足早に去ろうとすると背後から聞こえる璃空の声に、口元が引きつり顔だけで振り向く。
「あぁ゙?」
璃空は口元に手を置き、小馬鹿にしたように笑う。
目に角を立てる颯都と視線が合うと、目を細めた。
「案外臆病者らしいな…お前」
颯都は璃空に向かっていき、胸倉を掴み上げた。
「上等だ…試してやる」
「それも面白そうだが…今はアレが先だ」
璃空が視線を向けた先を見ると、涙目で泣く寸前の双子。
「颯都兄…読んでくれないの?」
「僕たち…颯都お兄ちゃんのためにがんばって書いたのに…」
「どうするんだ?」
璃空は、愉しげに笑いながら颯都を見る。
生徒会から一様に視線を受け、颯都は舌打ちし手を離した。
「読めば良いんだろ…」
「「やったぁっ!颯都兄、こっちこっち!」」
ため息混じりに言うと、双子にソファに誘導された場所に座る。
昶からその物体を手渡され、両端の双子に急かされながらページを開く。
ページを捲る長い指。
しかめられた表情に生徒会全員の視線が注がれる。
舞台は生徒会室。
そこに呼び出された颯都と、呼び出した璃空。
「(っ…!)」
捲ってから4ページ程で璃空が颯都に告白し、強引に手を抑えて深く口付けをするシーンを見てしまい、一瞬目を逸らす。
最初から嫌なものを見てしまった颯都は、パラパラとページを飛ばして真ん中辺りを開いた。
そして、閉じた。
「空想上だとしても有り得ねぇ。
悪いが俺には理解出来無い」
15秒も経たずに返品して来た颯都に双子は物を申す。
「よく解らないならわかるまでちゃんと見なきゃ!」
「そうだよ~まだまだこれからなのにっ」
そう言われるが出来ればもう二度と見たくない。
押し黙った颯都に、奥の椅子に座る璃空から更なる追い討ちが掛かる。
「もう止めたのか。案外堪え性がないんだな」
「あぁ゙?」
「読むと言った割に、内容を読んでいないだろう。内容が頭に入って理解出来ないと読んでいるとは言わない」
「あんな露骨な内容、読めるかよ!」
ハッキリと言い切ってから不味いと気付いた。
生徒会室が一瞬静かになり、次に双子の大きな泣き声が響いた。
「「うわーん!!」」
「ひどいよ颯都兄!」
「僕ら颯都お兄ちゃんの為に一生懸命に書いたのにっ」
号泣され、涙ながらに訴えてくる翔と慧に罪悪感が湧き上がる。
ソファにもたれて見ていた会計がボヤく。
「あ~あ、鬼の風紀委員長が泣かせた~」
「全く、仕方ない人ですね…」
陰湿な視線と溜め息。
璃空の居る方向からニヤ付いた視線が送られてくるのは気の所為ではないだろう。
「~っ……読めばいいんだろ!」
半ば自棄になって目を閉じて叫ぶと、先程の涙が嘘かのようにピタリと涙が止まった。
「本当!?本当に読んでくれるの!?」
嬉しそうに、翔。
「読むからには、最後まで読んでよね」
ニヤリと、慧。
選択を誤ったかも知れない。
元気な二人の様子に颯都の顔が引きつる。
「ほら、読むんでしょ?」
会計が楽しげに笑う。
公開処刑かよ、と颯都は思う。
机に置かれたBL本を手に取る。もう後には引けない。
覚悟を決めページを再び開いた。
その表情がしかめっ面ながらもだんだんと目元が赤く染まっていくのを面々はじっと見つめる。
中身を見る颯都はそれに気付かずに、しっかりと読み進めていく。
抵抗しながらも相手に翻弄され犯されいく、自分に似た男。
有り得ないと何度も繰り返し思いながらも、その様子に気恥ずかしくならずにはいられなかった。
あの時の事が脳裏をチラついては必死に振り切る。
「(何でこんなに生々しいんだよ…っ)」
絵がプロ並の綺麗さで、台詞のリアルさが加わり際どい以上の事情のやり取りがやけに生々しく感じる。
BLならではのエロさに、耐性のない颯都は平静を装いながらも何とか読み進めていく。
そのギリギリで葛藤している表情に、生徒会一同は釘付けになる。
ソファの縁には会計の昶がもたれかかって様子を見ていた。
「(へぇ~…鬼の風紀委員長も、こんな顔するんだ…何つーか…エロい……)」
今までただのお堅く近寄り難いイメージが、昶の中で変わりつつあった。
なるほど。会長のお気に入りな理由に合点がいった。
普段は冷静だが、弄ったらそこらの男や女よりかなりエロいのかも知れない…と。
首筋を見ながら感じる匂いに、無性に噛み付きたくなる衝動が湧き上がってくる。
「(一度味見してみよっかな……)」
昶は牙を抜き出して、情欲をそそるような颯都の首筋に吐息を掛けた。
「~…っ!!…何すんだよ」
首筋を手で押さえ、後ろにいる昶を睨み付けた。
「ん~?あんまり美味しそうだったから」
すぐに文句を言おうとしたが、双子が両側から抱き付いてきて遮られた。
「颯都兄、顔赤いよー?」
「さっき、なにかされたー?」
「いや、何も」
颯都は平常心に戻ろうと無かった事にするが、その後も首筋を指でくすぐられたり、耳に息を吹きかけられたりと、かなりの妨害を受けた。
その度に殺意が湧き上がって来たが、此処から出たい一心で読み続けた。
「…読み終わったぜ、これで文句ないだろ」
奥の机から感じる璃空の舐めるような視線から顔を背けて漫画を机に置いた。
心なしか最初よりぐったりしている。
「わぁ~い♪最後まで読んでくれた~!」
「どうだった!?どうだった!?」
興奮のままに両方行から抱き付いて下から見上げて質問する双子。
「あ、あぁ…良く書けてるんじゃねぇか?見方によっては面白ぇと思うぜ」
二人の頭を撫でながら、笑顔で褒める颯都を見て二人は思った。
あぁ、確かに兄貴っぽい。
本当は否定したいだろうが、書いた二人を思って肯定してあげているんだろう。
我慢強い所が長男っぽいと生徒会の面々は頷けた。
更に喜んで颯都にじゃれつく双子を、会長が一気に引き剥がして地面に置いた。
「それ位にしておけ」
「「……はぁ~い」」
会長のお叱りを受けた二人は、残念そうな様子だったがまたじゃれつこうとはしなかった。
それに…、と璃空は颯都の腕を引いて立たせると抱き寄せた。
「颯都は俺のモノだからな」
口端を上げて唇を舐める卑猥な仕草に、颯都に悪寒が走った。
(会長、久々にイキイキしてるよね)
(全く…ああなったら手に終えませんね)
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