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target4-4.熱を上げる
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次の日、生徒会には定番となった面々(璃空、京弥、昶)がそれぞれの席に座っていた。
その内の璃空と京弥は庶務をこなしているが、昶はべったりと机に寝そべったままだ。
「それでさぁ~…キスした時に、まるで身体が電流受けたように痺れたんだよ。
キスは沢山してきたけど、あんなの初めてだった~…」
目を閉じてその余韻に浸るように惚気に当てられている昶。
生徒会室に来てから、ずっとこの調子だ。
京弥は今までにないその姿に、顎に手を置き分析を始める。
「…何かの錯覚か、そうでなければ…」
言葉の途中、指で弾かれた消しゴムが弾丸のような素早さで京弥の目の前を通過し、惚けている昶の額に命中した。
璃空の念力を込められた消しゴムは、ただならぬ痛みを及ぼした。
「~~っいっ…てぇ~っ!!!!
……会長!!邪魔しないでよっ!」
消しゴムは床に落ち、昶の額には痕がくっきりと残って赤くなっている。
睨む視線を、璃空は何事もなかったかのように庶務をしながら受け流す。
「馬鹿か。颯都は俺のモノだ。お前にキスする訳がない」
「会長には悪いけど~、颯都はオレに惚れちゃってるみたいなんだよねぇ~…すっげーキス、してきたし」
昶は顔をニヤつかせ、挑戦的な視線を璃空に送る。
「その位で調子に乗るな。俺は颯都と、お前とは比べ物にならない深い関係を築いているんだ」
「オレには、会長の一方通行に見えるけど~?」
「お前の目が腐ってるんだろう」
京弥はそれらに我聞せずを貫いていたが、見るに見かねて止めに入った。
「そんな与太話は、生徒会活動が終わってから余所でやってください」
京弥にピシャリと言われると、璃空は無言で仕事の続きに取りかかり、昶も身を起こして書類の山に取りかかり出した。
漸く、静かで仕事のしやすい環境になり、京弥は息を吐いて庶務の続きに入る。
しかし、そんな平穏も一寸ほどだった。
生徒会室の扉が開き、噂の人物が現れた。
京弥は特に気に留めず、緑茶を口に含む。
書類を璃空の机に置くと、含み笑いをして見てくる視線に対抗し睨みながら口を開いた。
「付き合え」
京弥が思わず口に含んだ緑茶を吹き出した。
「やっと俺のモノになる気になったか。
そうと決まれば…」
顔をにやつかせる璃空に対し、颯都はさらに眉をしかめた。
「俺な訳ねぇだろ。
お前の親衛隊の隊長、結城 郁(ユウキ カオル)だ」
「お前以外に興味はない」
「親衛隊の不始末。此で無かった事にしてやる」
颯都が差し出した、何かのチケットを受け取る。
それは、遊園地の一日チケット。
「其奴がお前と行きたいと言っていた。二人で行って、其奴の事をちゃんと見てやれ」
話を聞きながら璃空は不満顔でチケットを見ていたが、颯都に向き直る。
「颯都。お前も来い」
「…は?…俺は行かねぇよ」
予想外の言葉に唖然としたが、すぐに否定する。
それでは郁に頼まれ渡した意味がないし、嫌いな人間とテーマパークなど行きたい訳がない。
「なら、俺も行かない」
璃空はチケットをテーブルに置く。
「はぁ?」
「お前がいなければ、わざわざ俺が行く意味もない」
子供地味た璃空の言い分に、颯都はため息を吐いた。
颯都はいまいち分かっていない璃空に趣旨を説明しようとする。
「あのなぁ――」
しかし璃空はどこかに電話を掛け、交渉をし始めた。
「――あぁ、一人分でいい。
それと、車を出せ。……あぁ」
短く言葉を交わすと、通話を切り、したり顔を颯都に向けた。
「お前の分もとっておいた。感謝しろ」
王様のように偉そうな態度。
その内容にもカチンと来て璃空を睨み反論する。
「ふざけんじゃねぇ。勝手に…」
「会長、オレの分のチケットもとってよ~」
「お前はその辺のヤツと行ってろ」
「オレも颯都と行きたいのー。いいよ、自分でチケットとるし」
「俺と颯都のデートを邪魔するな」
「会長こそ、邪魔しないでくれる?」
昶が話をふっかけた事により、話はさらに複雑化し、二人の間に火花が散った。
完全に趣旨を履き違えている二人に苛々が募り、机を叩いて退場しようとした瞬間。
突然双子が現れ、颯都の腕に巻きついてきた。
「颯都兄っ、久しぶり~!」
「颯都お兄ちゃん、僕らと遊ぼー!」
庶務を諦めた京弥は、緑茶を飲みながら事態を静観していた。
生徒会室は騒がしさを増し、颯都は俯いて苛立ちを抑えながら対処法を考える。
その間に双子は颯都の腕を掴んだまま、璃空と昶の言い争いに割り込み、状況を聞き出す事に成功した。
「え~!颯都兄と遊園地デート!?」
「しかも四角関係!?これは行かなくっちゃ!」
「おー!行って颯都兄の受けシーンを目撃するのだぁ~!」
「お~!楽しみだなぁ♪」
その言葉に、思考トリップしていた颯都が反応した。
「はぁ!?お前ら、何でそんな話に…」
反論する颯都だが、そこにまた新たな人物が名乗り出た。
「貴方達に行かせれば、騒ぎになりかねません。僕も行きますよ」
「はぁっ?」
眼鏡を押し上げて行く気満々の京弥に、颯都は今日何度目か耳を疑った。
そして、畳みかけるように会長の言葉。
「決まりだな」
(当初の予定とはだいぶ違ったが、まぁいい)
(まさか、デート出来るなんて…ま、余計なのもいるけど)
((絶対、颯都を落とす))
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