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target4-19.衝動
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首筋に、牙を突き立てる。
それだけで、抑え切れない声が漏れた。
啜るたびに聞こえる甘美な声が、喉を伝っていく赤い液体が鼓動を高ぶらせ、本能を刺激して止まない。
その時、僕は血に魅入られた獣だった。
飢えて乾いた喉が潤されていく。
満たされていく。
幸福な感覚で満腹になって牙を抜き、噛み痕にそっと口付けた。
「颯都……」
息を乱す艶やかな姿を見つめながら、繋がった部分を突き動かす。
「ん、あっ…ゆ、き……!」
彼の声がする度に、身体の奥底から熱が沸き起こり本能が訴える。
足りない。
もっと。もっと…――
―――――――…
―――
―――――……
ガバッと勢いよく身を起こす。
自分の寝室。
颯都はいないし、自分も衣服を着ている。
ということは。
「―……夢…?」
自覚した途端、
自己嫌悪の波が襲ってきて頭を抱える。
「(俺、なんて夢を見て…)」
そうだ、あの写真。
昨晩、颯都の表情が頭から離れなかった。
あんなまるっきり無防備で、扇状的な姿を見てしまったから。
…だからって、あんな夢を見てしまうなんて。
布団の中を覗き込むと素直に反応を見せていて、思わずため息が零れる。
生理的反応だから仕方ないとはいえ。
「(どうしよう…これ)」
―――――――…
―――
―――――……
部屋を出た雪斗は、手洗いと洗顔をしようと洗面台に向かう。
「…あ」
ドアを開け、歯磨きをしている颯都と目が合った。
「お、おはよ…」
「はよ、雪。今空ける」
うがいをする様子をぼんやりと見詰めて思い出す。
「(あ…初めて颯都の血を飲んだの、ここでだったな…)」
無意識に、首筋に目が行く。
シャツから覗く首筋は白く、彼の発する香りのいい匂いが本能を刺激する。
…今。
首筋に牙を突き立てたら、どんな反応をするのだろう。
想像し、大きく唾を飲み込む。
あの時のように、艶やかな声で…
届く距離に、その誘惑がある…―――
「雪」
「えっ!?な、何?」
「…開いたぞ」
「…あ……うん」
名前を呼ばれるだけで過剰反応する雪斗を不思議がり、颯都は出て行った。
残された雪斗は頭を抱えて蹲る。
「あー…ヤバい。堪えきれるかな、俺…」
生徒達が食堂に向かう頃。
いつものように、僕たちは食堂へ足を運んでいた。
組み合わせからか、廊下を歩くと自然と視線を集める。
視線を感じるも取り立てて気にはせず、颯都と並んで会話しながら食堂に入っていく。
食堂に入る度に聞こえていた、耳をつんざく歓声は颯都の鋭い威圧で無くなったものの。
「来たぜ、風紀委員二人組が……」
「やっぱあいつら付き合ってんじゃねーの?……」
…などと、今日も噂話が後を立たない。
「(付き合ってるって…俺は、嬉しいけど…)」
チラリ、と横顔を盗み見る。
綺麗な横顔。
颯都は俺のこと、どう思ってるんだろう…。
(俺は、隣に居るだけなのに)
(こんなにも鼓動が早い)
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