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target4-21.四角関係
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「……ッ!」
唇が重なり我に帰ると、璃空の身体を突き飛ばす。
濡れた口許を袖で拭い、目の前のにやけ顔を睨み付ける。
依然とにやけた儘の顔が腹立たしく、強く固めていた拳で思い切り頬を殴った。
「死ね変態が」
吐き捨てるように、颯都。
璃空は見事に食らってよろける。
「…お前と結婚してから死ぬ」
「馬鹿。男同士は結婚出来ねぇよ」
「大半は出来ないが、中には同性愛者による結婚を認める国もある」
「…俺は同性愛者じゃねぇ」
「関係ないさ。その内俺を好きになる」
「有り得ねぇよ」
「会長と颯都兄また痴話喧嘩してるね~、翔!」
「喧嘩する程仲が良いんだよね~、慧!」
いつもの如く言い争う二人を見て、双子はにこやかに顔を見合わせた。
「会長、ズル~い」
「自分も言い争いになりたいんですか?」
「そういうワケじゃないけどさぁ。
会長なんだかんだで、いつも美味しいトコ持っていくよね~」
「…そうですね」
昶と京弥は二人を見ながら、まったりと会話していた。
しかし雪斗は、内心穏やかではなかった。
「会長さん。颯都が嫌がってるの、判りません?」
「ふっ、判っていないのはお前の方だろう。彼奴は照れているだけだ」
「貴方こそ、颯都の気持ち理解してないと思うんですけど。
こんな所で風紀乱すような行動起こしたのも、颯都の立場判ってないからでしょう?」
「…おい。雪斗…」
一気にピリピリし始めた雪斗に颯都は制止しようと声を掛けた。
雪斗だけでなく璃空も同時に颯都を見る。
「騒ぎを収めるのが俺達の仕事だろ。お前が騒ぎを起こしてどうする」
行くぞ、と言うと颯都は自分の食器を持って先に歩き出した。
「あ…うん」
自分の立場を思い出し、頷いてから璃空に向き直る。
「俺…負けませんから」
真剣で一途な眼差し。
璃空もしっかりその目を見て、口角を上げた。
「あぁ…受けて立つ」
それを聞くと、雪斗は自分の食器を持って颯都の後を追い掛けて行った。
「颯都兄、今度は副委員長と会長との三角関係!?」
「すごーいっ!さすが颯都お兄ちゃんだ♪」
「あぁ、競争率高いなぁ…それでも、颯都はオレが手に入れるけど」
「馬鹿か。颯都は俺のモノだ」
生徒会の面々が和気藹々と話していると、突然眩いフラッシュが襲った。
一瞬眩んだ視界が元通りになると、新聞部部長が怪しげに笑みを浮かべていた。
「…フッフッフ。今回もいいスクープを取らせてもらったよ。
委員長を巡る四角関係…!いい記事が作れそうだ。それでは失礼」
眼鏡をクイッ、と上げると素早くその姿を消した。
「あー……まぁいっか」
光景を眺めていた昶は、自分が角数にプラスされた事に気付いてはいたがあっさりとそう結論した。
「やったぁああ!!夢の公認四角関係!!」
「やったね、慧!!」
「これも僕らの影の努力の成果!」
双子はイエーイ!とご機嫌にハイタッチをしたのだった。
(放って置いていいんですか?)
(記事が出た方が面白いだろう)
(また嫌われますよ)
(………)
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