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target5-2.体育祭
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―――体育祭当日。
雲一つない晴天の空。
開始を告げる花火が何発が打ち上がり、体育祭は開始を告げた。
「生徒会会長挨拶」
生徒が集合して整列したグラウンドでは開会式が始まっていた。
壇上に上った璃空がマイクを引き寄せる。
「折角のイベントだ、ストレス発散か退屈凌ぎ位にはなるだろう。楽しんでいけ」
璃空が話し終わると一気に歓声が押し上がった。
「続いて、風紀委員長挨拶」
「乱闘になる様な問題行動は起こさないで下さい」
颯都が話し始めた途端に静寂を呼び、璃空が作った熱気が沈静化する。
組ごとにランダムに鉢巻きの色が決まっていて、颯都と璃空がいる2-Aは赤、雪斗と京弥は白、昶と郁は赤だった。
そうして始まった体育祭。
アナウンスが流れ、最初の50メートル走走者の準備を促す。
生徒会と風紀委員会、並びに放送委員会は同じ待機場所。
狭いテント内は、なんとも微妙な空気に包まれていた。
腕を組んで椅子に座っている璃空が空を仰ぎ見る。
「…ムカつく位晴れているな」
「…オレ、眩しいの嫌い~……」
ポツポツと会話が流れる一方で、50メートル走が開始される。
しかし、雪斗の視線は横に逸れていた。
「(颯都のジャージ姿、初めて見た…、)」
50メートル走を見ていたが、視線を感じ取った颯都が少し此方を向く。
目が合って、とりあえず笑っておいた。
「続いて、100メートル走の競技に出場する生徒は指定位置に移動してください」
そうしている間に50メートル走は終了し、隣の放送席からアナウンスが流れる。
立ち上がる颯都に、雪斗が声を掛ける。
「あ、出るの?」
「あぁ」
「行ってらっしゃい」
「ん、行って来る」
何気ないやり取りの後、颯都は競技が行われる場所へと向かう。
「…な~んか夫婦みたい~」
双子のどちらかが発した言葉に雪斗が吹き出す。
「ふ、夫婦!?」
その言葉に璃空がピクリと片眉を吊り上げた。
「ねーねー!前から思ってたんだけど、雪斗くんは颯都お兄ちゃんのこと好きなの?」
「え」
「同室だったら、いろーんなことあったりするよねぇ?」
ここぞとばかりに質問攻めにする翔と慧。
雪斗はグラウンドにいる颯都を見つめる。
「…俺は好きだよ。颯都の事」
聞いた途端、双子は驚きと喜びの表情になる。
「マジかぁーっ!?」
「ほらー!やっぱりフラグ成立中なんだよっ」
騒ぎ立てている内にスタート合図の銃声が鳴り響き、第一走者が一斉に走り出した。
まだハシャいでいる双子にいつもああなのか、と苦笑を漏らしパイプ椅子に座る。
颯都の番になるまではそれぞれ適当な話をしながらグラウンドを眺めていた。
眩しい日差しが、太陽に慣れていない吸血鬼の体力を奪う最中。
遂に、颯都の出番を迎えた。
位置について、との琉生の掛け声でスタートラインに立ち、よーい……で走る体制を構える。
銃声が空に打ち上がり、一斉に我先にと走り出した。
スタートダッシュではほぼ同じだったが、徐々に差が開いていく。
始めにゴールしたのは…2位と大分距離を離した颯都だった。
「さすが颯都兄ー!!」
「かっこいい~♪」
身を乗り出して手を振る双子とは反対に、他の生徒会の面々と雪斗は静かに颯都を見詰めていた。
ただ、それぞれの意味合いに共通するものはない。
思い思いの視点で眺めていた。
そんな中、放送席にも颯都を熱心に見詰めている姿があった。
(ほんと、かっこいいな)
(僕もああなれたら…)
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