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一。
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*
「この野郎っ!!」
男たちはその言葉にブチ切れ、攻撃を一斉に仕掛けた。
それに対して慎太郎は、一切動揺せず攻撃をかわしていった。
ゴッ
そして次々に男たちの首を狙って、気絶させていく。
「クソッ……、ふざけるなよ……!」
しかし人数が減っていく中、1人の男がとある武器を取り出した。
それは黒い鋼でできた剣。
刃が厚く造られており、剣というよりは鉈に近い。
持ち手はレバー式になっていた。
拳銃にあるようなロックを外し、レバーをカチリと引く。
それによって黒い刃は灼熱の赤に染まった。
「これでくたばれっ!!クソガキ!!」
「!!」
慎太郎が赤い刃を鉄パイプで受け止める。
するとその刃に触れた鉄の部分が、まるで水飴のように溶けてしまった。
「やべっ…!」
彼は焦り、鉄パイプから手を離す。
カランッ
男から数歩距離をとり、地面に落ちた鉄パイプ見た。
それは液状化しながら折れてしまった鉄パイプが。
慎太郎の額からたらりと汗が流れた。
「マジかよ……。」
その表情を見て、男たちは先程とは違いニヤリと笑みを浮かべる。
「ハハッ、やっぱコレすげえな。初めて使ったが、月華を狩る専用の武器は違うぜ。」
赤い刃の武器を見ながら、男は感嘆の声を上げた。
「さて、周りには武器になるようなものは何もない。……大人しく狩られてくれよ?」
「……………………。」
(絶体絶命じゃん、これ……。)
慎太郎は悩むように頭に手を添える。
そして唸るようにガシガシと頭を掻いた。
「あ"ぁーーー、今日は絶対1人で倒せると思ったのにぃぃ……。」
「は?」
その言葉に男たちは目を点にさせる。
「………でもしょうがない。俺だって死ぬのは嫌だからな。生きるためだ。」
そう言うと、彼はスゥッと大きく声を吸い込んだ。
そして周りに響くような声で、大きく叫ぶ。
「お願いしますっ!!どうかクズで哀れな凡人をお助け下さいっ!!
冬護(とうご)様あぁぁぁ!!!」
ビルに反響しながら、その声は遠くまで届いた。
「はぁ?何言ってんだコイツ…。頭おかしくなったのか?」
「……………………。」
男たちが奇妙な行動をとった少年を嘲笑う。
「………チッ、面倒くせぇな。」
ーーーすると、遠くの方から低い声。
「ッ!!!」
その瞬間、刃物を持った男の身体は遠くに吹っ飛んだ。
「このくらい1人でやれよ、クズ野郎。」
急に現れた新たな存在。
ーーーそれはとても美しい人間だった。
銀の髪に、狼のような鋭い眼。
揺れるアイスブルーの瞳は、まるで冬の湖のように澄んでいた。
180センチを超えた、完璧すぎる身体。
モデルのような男だが、来ている服は少しボロい。
足技を繰り出したことで、片足は上げたままだ。
「本当なら再起不能までお前を殴りたいところだが………。」
冬護と呼ばれた美しい男は、殺気にちかい眼で慎太郎を睨む。
それに慣れていた彼は、へらっと誤魔化すように笑った。
「死なれると俺が困る。だから大人しくそこで見てろ。」
「……あはは……、本当にすみません。」
「チッ……!月華かっ!!」
男たちが焦った顔で武器を構えれば、冬護の殺気は彼らの方に向いた。
「憂さ晴らしするサンドバックなんて、いくらでもいるからな。」
「ッ…!!」
ザッッ
彼らとの間合いを、冬護は一瞬で詰めた。
その瞬間、男たちの断末魔が裏路地で大きく響く。
次々に血を流しながら、倒れていく男たちの姿。
「や、やべぇ……。」
先ほど慎太郎を困らせた剣を持った男が、その様子を呆然と眺めていた。
「い、いや…でも大丈夫だ……。俺にはコレが……つっ!?」
男が自分の手にある剣を見ようとすると、いきなり手に鋭い痛みが。
耐え切れず手を離すと、男の掌は真っ赤に染まりひどい火傷を負っていた。
「……なんで……。」
「ほう……。面白いもの使ってるな。」
「ッ!!」
ガンッッ
隙を突かれて、男は背後から冬護に攻撃をくらう。
「……かは…ッ……!!」
「……だが、お前が使うとそれはただのゴミだ。」
どさりと、男はそのまま地面に転がった。
全てが終わり、冬護の周りには気絶した男たちの残骸が広がっている。
「フン……、雑魚が。」
最後に男の顔を踏み潰し、鼻で笑う冬護。
しかしその顔は全く笑っていなかった。
そのあと冬護は飽きたように身を翻し、慎太郎の方に歩いてくる。
そしてすれ違いざまにこう言った。
「後始末くらいは自分でやれ。俺は帰る。」
そう言うと、彼は裏路地から姿を消してしまった。
「……………………。」
慎太郎は嫌そうな顔で、男たちの残骸と散乱した路地を見た。
地面にはまだ赤く熱を発している剣や溶けた鉄パイプが転がっている。
「……まさか、これを全部俺がやれ(片付けろ)と?」
男たちの残骸撤去、
裏路地に残る証拠の隠滅、
特殊な武器の回収……など。(熱を発しているのか、周りの物が焼けただれている。)
「……これ、絶対面倒くさいやつじゃん。」
彼は顔を手で覆い隠して、スッと天を仰ぐ。
裏路地に慎太郎の悲痛の叫び声が響いた。
「ノオォォォォォォッ!!!!」
ーーーーーー
ーーー
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