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十五。
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「さぁて、これからどうしますか。」
都会にある高層ビルの屋上。
ポニーテールをなびかせながら、ミカヅキは愉快そうに笑った。
彼の金色の髪が、夜の風景と溶け込む。
「あーー、もう早く暴れたい!!明日とかにすぐやっちゃう!?なぁっ、そうしちゃう!?」
嬉々とした表情でトウヤに問えば、彼は無言で何かを考えていた。
「……………。」
「なぁ…、なあってばー!」
銀のフレームの眼鏡を正し、手元にある資料を見ていた。
「おい、きーてんのかよ。トウヤーー!!」
構って欲しそうにミカヅキがギャーギャー喚けば、トウヤは殺気に近い目でギロリと睨んだ。
「うるさい、少し黙っていてください。」
ズイッと資料をミカヅキの前に突き出して、トウヤはイラついた声で喋る。
「今真剣に計画(プラン)を考えてるんです。
次に騒げば、貴方の汚い口に手榴弾ブチ込みますよ。」
そう言うと、ミカヅキは面白いそうにケラケラと笑った。
「え!?なにそれ、すげー面白そう!!」
「……………。」
脅しが全く効かないミカヅキ。
それを見てトウヤは、呆れた様子で手元にある資料に視線を戻した。
「……とりあえず、明日は駒を使って様子を見ましょう。私たちだけで十分ですが、念のためです。」
トウヤが真面目な顔でそう言うと、ミカヅキの顔は一気に落ち込む。
「えーーー。何それつまんな。本当お前ってシンチョーだよな!
さっさとブン殴ってー、頭かち割ってー、グチャグチャにしちゃえばいいじゃん!」
腕をぐるぐると回しながら、ミカヅキは子供のようにはしゃいだ。
「………そんな幼稚な考えだから、1人での行動を制限されるんです。この単細胞。」
「??」
何も分かっていないミカヅキにトウヤは深いため息をつくと、懐からライターを取り出す。
「ま、大体計画(プラン)は考えました。これは用済みです。」
トウヤが白い手袋でかざした資料には、名鳥と葵の顔が写っていた。
そしてその隅には別の資料と混じった、もう1人の少年の顔。
トウヤはライターによってその紙に火をつける。
その紙は次第に焼き焦げて炭になっていく…。
「手に入れた情報は、全て頭の中に入れました。
次動くとしたら、そうですね……彼らが動く時でしょうか。」
眼鏡の奥底で睨む、トウヤの視線の先……。
ビルからの景色では目視できないが、それはただ一点に絞られていた。
「……早く閉じこもった殻から出てきなさい。その瞬間、始まりの合図が鳴るのです。」
ミカヅキもニヤリと笑いながら、トウヤと同じ方向を見ている。
彼は歌うように、何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
「はーやーく。はーやーく。はーーやーーく。」
革ジャンを着たミカヅキと青いスーツであるトウヤの後ろ姿は、まるで正反対。
しかし心の奥底は、同じ感情で溢れていた。
「なぁ、トウヤ。
この狩り成功させたら、黒神さん喜んでくれるかな。また俺の頭をイイコイイコしてくれるかな。」
トウヤの手元にあった資料は、もう紙切れ同然となる。
「そうですね。きっと喜んでくれます。……しかしただ狩るのでは、黒神さんは喜びません。
あくまでも黒神さんは、十二支が狩られる惨劇を見て楽しみたいのです。」
「!!」
「なので今回、私はそのシナリオを作ってみました。」
「シナリオ?」
「そう。黒神さんの好みに仕上げたシナリオです。きっと上手くいって、黒神さんも喜んでくれるでしょう。」
無表情だったトウヤが、口角を上げニヤリと笑う。
手元に残った切れ端には、まだ少年の顔が半分だけ残っていた。
頭の中で空想される惨劇を想像し、トウヤの口から無意識に言葉がこぼれ落ちる。
ーーーー"さあ、早く堕ちてきなさい"
夜に閉じ込められた空の下。
トウヤの恍惚とした声が、夜景と溶け込むように響き渡った。
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