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三十九。
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*
慎太郎の瞳には、迷いがなかった。
しかし冬護は目を細め、言い聞かすように口を開く。
「……俺の銃は普通のものより威力が桁違いだ。お前にもし当たれば、重傷……下手すれば死ぬかもしれないんだぞ。」
「……それは承知の上です。死んだら死んだで、それが俺の運命だったってこと。」
慎太郎は呆れたように笑いながら、冬護にこう告げた。
「それに貴方言ってたじゃないですか。本気で戦わなきゃ駄目だって。
……ならこのくらいの覚悟、必要ですよね。」
それを聞くと、冬護は僅かに目を見開いた。
そして次の瞬間、慎太郎にとって信じ難いことが起きる。
「………そうだな。それくらい覚悟してもらわないと困るか。」
「!!」
ーーー出会って初めて、冬護が慎太郎に笑いかけた。
しかしそれはほんの一瞬で、次の瞬間にはいつもの無表情に戻りミカヅキを見つめてしまう。
「おら、余所見してないで集中するぞ。
お前に当てるのは極力避けるが、万が一の時はお前の身体を通してヤツに攻撃を当てる。
……それでいいな。」
「……はい!お願いします。」
ザッ……!!
2人は前を向いて、ゆっくりと歩いてくるミカヅキを睨んだ。
「では、行きます!」
慎太郎は地面を蹴り、ミカヅキの元へと駆け出した。
冬護は目を鋭くさせ、彼らの一動作も見逃さず見つめる。
ビュッッ
慎太郎は連続的に攻撃を繰り出した。
ミカヅキに隙が生まれるよう、腕や足を狙って刃を突きつける。
「……あははっ、黒髪くん!おそい!おそいねー!ほら、全然当たらないよーー。」
「チッ!」
しかしその攻撃は全く当たらず、ミカヅキは難なく慎太郎の攻撃を避けてしまう。
「ほい!もういっちょーー!!」
代わりにミカヅキの金棒が振り下ろされ、慎太郎の脇腹に直撃した。
「っっ!!」
凄まじい腕力に、慎太郎の身体は遠くに吹っ飛ぶ。
ドォォォンッ!!!
コンクリートにもう一度打ち付けられ、慎太郎は跪いた。
「ゴホッゴホッ、うッ……!!」
込み上げてくるものに抗えず、彼は大量の血を地面に吐き出す。
ボタボタと、慎太郎の口から大量の血が溢れた。
この攻撃で、何本か肋骨を折ったらしい。
(すっっげぇ痛い……!!!)
だがこのくらいの痛み、幼い頃から慣れてる。
弱気になってはいけない。まだ諦めるな。
一応この攻撃で、分かったことが1つある。
熱伝導の能力を使ったことによって、ミカヅキは剣自体を触ることがなくなった。
ということは、彼は焼ける痛みに対して耐性がない。
(……それなら!!)
「ほらほら!!立ち止まってちゃ君死んじゃうよーー!!」
隙を与えないように、ミカヅキは素早い動きで慎太郎に近づいた。
ガッッ
慎太郎は先ほどの攻撃で出来た細かい破片を、ミカヅキの目に向かって放った。
「おっと…!」
ミカヅキはそれを金棒を持っていた手で防ぐ。
(……いまだ!!)
慎太郎は赤銅色の剣を振り上げようとする。
「っ、そんなおもちゃで俺の金棒は切れないよ!!」
ミカヅキが笑みを浮かべた瞬間、慎太郎は熱伝導のギアを最高段階まで上げた。
カチカチカチカチッ!!
そして赤銅色の刃は一気に、綺麗な灼熱色の刃に変わる。
「っ!?」
「庶民(この俺)を、舐めんじゃねぇぇぇっ!!!」
ザンッッ!!!
慎太郎は金棒ごと、ミカヅキの片腕を焼き切った。
「冬護さんっ!!」
慎太郎が叫べば、冬護は空いたミカヅキの頭部に向かって標準を合わせた。
そして銃の引き金を思いっきり引く。
バァンッッ!!
大きな発砲音と共に、
ミカヅキの頭に2つの銃弾が貫いた。
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