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愛
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「………綺麗だ……。」
先生は僕を見つめてそう言った。
そんなにうまくカットできたのだろうか。
先生はまだ僕を見つめたままだ。
正直いって、そんなに見られると恥ずかしい。
「…先生…?」
先生の肩をトントンと二度叩く。
「柳、お前綺麗な顔してたんだな…。
いやーまじ驚いたわ、うん。驚いたほんと。」
顔が綺麗だなんて初めて言われた。
僕はその事に驚いた。
なんだか、顔が赤くなるのが分かる。
「なになに、お前照れてんの?」
先生は少しニヤついた顔で聞いてきた。
この顔が赤くなる感覚、これは照れてるのかな?
「柳が綺麗だからきっと、両親も美男美女
なんだろうな……あっ、…悪い………。」
先生が両親の話しを持ち出したからか
明らかに気まずそうな顔をした。
気にすること無いのに…。
僕が10歳の時、両親は強盗に襲われ亡くなった。
僕もその場にいたらしいがショックからか
その日の記憶は丸々頭から消えている。
僕だけが無傷で生き残った。
両親が亡くなったのだから、悲しい気持ちはある。
だけど、周りが哀れむほど僕は悲しいのだろうか。
警察が言うには、強盗のわりに争った形跡が少なく
もしかしたら顔見知りの犯行なのではとのことだった。
犯人はまだ捕まっていない。
目を瞑り、頭に浮かんだ。二人の顔。
「…そうなんです。母も父も僕の自慢でした。」
語尾が震えた。
目をあけると雨が降った。
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