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真弓兄ちゃん 3
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真弓兄ちゃんと 再会する機会は 案外呆気なく 訪れた。
地方都市で独り暮らしをしていた俺が 年末で 実家に 帰省していて 夕食を食べ終わって お茶をのんびり飲んでいたひとときだった。
電話が掛かってきて 母から告げられた。
「千春。あんた アタシのお爺ちゃんお婆ちゃんの家覚えてる?
アタシのお父さんの両親の家になるの。
そしてアタシのお父さん つまり今一緒に住んでるあんたのお爺ちゃんの生まれた家。
昔よく行ったんだけど アタシのお婆さんが亡くなってから あなたも行きたがらななくなっちゃったし。
お父さん つまりあんたのお爺ちゃんも 自分の父親居るのに なんでか 行かなくなっちゃって。
古くて 大きな家。
畑が、あったり 川があったり。あなた向こうで 盆踊りにも行ったんだけど。」
「うん。覚えてるよ。大きな囲炉裏のある 古くて立派な家だったよね。一人一人お膳みたいなお盆みたいな のを 前にしてご飯食べたよね。」
「よく覚えていたわね。あなたは もう忘れちゃったかもしれないけど、そのときに あなたの親戚の 真弓君って 覚えていないかしら?よくなついていて。真弓君も あなたとよーく遊んでくれたのよ。可愛がってくれていてね。」
「あーそう言えば お兄ちゃんが い、居たよ、ねー。」
「その真弓君。今度 横浜がお勤め先になるらしいの。挨拶がてら 明日来るらしいわ。」
「へ へぇー。勤め先が? 転勤? サラリーマンか何かになったの? 横浜に? ふーん。」
「あら?知らなかった?真弓君は元々横浜なのよ。お父さんは裁判所だか何かの関係の仕事でね。転勤が多くて。真弓君は高校は腰を落ち着けて勉強したいって。中学生の時たまたま あそこに居たから そのまま あの県で高校に入るって。それで あの家に 居候してね。あの家は大きかったし、大人数だったからね。県内で一番の高校に入って3年間。あそこに居たのよ。」
「そ、そうなんだ。ふーん。知らなかったよ。ふーん。」
「明日は 真弓に何をご馳走しようかしら。若いから沢山食べるわよね。2人分。うーん。やっぱりすき焼きかしら。お寿司でも取ろうか。それとも ホテルのレストランでも予約してご飯食べに行こうか?千春は何か食べたいものある?」
「2人分?真弓兄ちゃん一人じゃないの?」
「彼女か 結婚予定の婚約者でも連れて来るのかしら。」
目の前が暗くなる思いだった。
こんなに真弓兄ちゃんを好きに させといて。彼女?
俺に あんなことを しておいて。
俺に 好きな人とする特別な口と口のキスを教えといて。
俺のモノを散々 弄って。
自分のモノを触らせておいて。
結婚?彼女?女を連れてくる?
元々横浜?
そういえば 方言は無かった。
考えてみれば 地方都市で 横浜出身でエリート家族で 頭も良いと なれば モテない筈がない。おまけに 背もすらりとしていて 眉も濃く 目も鋭いながら はっきりしていて 鼻筋は通っていて イケメンの部類に入るだろう。
仕事は何をしているのか知らないが 真弓兄ちゃんが高校生の アノ時 既に キリリとして 彫りが深い顔立ちだった。そして何より 穏やかで優しい性格だった。
明日。
女を連れてくる?
どうしよう。
友達と何処かに行って 夕食を断ろうか?
逃げ出したい。
でも 会いたい。
女を連れてくる真弓兄ちゃんと会いたくない。逃げ出したい。
でも 会いたい。
居たくない。
でも 会いたい。
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