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真弓兄ちゃん 5
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ピンポーン。と 鳴って 母が応対に出て ついに 真弓兄ちゃんが やって来た。
昔からの顔馴染みなのか 母のことを 姉さんと呼んで 母と話しながら コタツのある和室に 入ってきた 真弓兄ちゃんは………
背はたぶん180辺りの長身で 髪は短く刈り上げたようにさっぱりして 前髪は緩くバックに流し 眉毛も濃く 目は睫毛が長くて、決して大きくはないが キツク無くて涼しげな それでいて黒目がちの綺麗な瞳だった。
彫りが深かった。鼻は筋が通って くちびるは薄くはないが 笑った歯は健康的で 口角を少し上げたりすると 一見冷たい印象が一変した。低い声で穏やかに話す様は 優しくて心地よい。
着ているスーツも一見して ブランド物なのか 数万以上の予想が出来た。
とにかく 安物ではない物に身を包み それが似合っていた。しかもイヤミに見えない。
外見だけでも 誰もが振り返ると言っても過言ではない。要はイケメンだったのだ。気障ではないのに 斜めに 一瞥された時カラダに 電流が 流れたかと 思うほど ゾクゾクするほどだった。
俺の幼い記憶は 美化されるどころか 劣化して記憶していたのだ。本物は 記憶以上に 一流品だった。
「こんにちは。千春君。」
「いらっしゃい。」
真弓兄ちゃんとは それ以上の会話は無く 母が真弓兄ちゃんに話しかけた。
「真弓君 ビールにする?日本酒?何でもあるわよ。イケルでしょ?」
「姉さん お構い無く。あれ?おじさん居ないの?」
「仕事でね。地方に行ってる。今夜は帰ってこないのよ。」
「僕ね。おじさんにお願いがあったんだ。」
「なあに?仲人か何か?父はヤモメだから無理よ。私も未亡人だから無理ね。」
「いや仲人じやないよ。ははは。
おじさんは、いつ帰るかな?」
「何よ?私じゃダメなの?」
「うん、まぁ、ダメって訳じゃないんだけどね。実は今度 この近くが勤め先になってね。世話になった教授のツテでね。
でもまだ住む処決まってないんだ。
時間が無くて。
年明け早々から仕事なんだけど。落ち着いたら 不動産屋巡ろうと思っているだけど。実際見てからじゃないと 決められないし。それまで この家に 居候させて貰えないかなって 思ってさ。」
「良いわよ。父だって 人が居た方が喜ぶわよ。今千春が居ないから 父と2人で寂しくて。部屋借りるなら うちに住まわせてあげるわよ」
「いや 姉さん やっぱりそういう話はおじさんに直接お願いしないと。そんなに長くじゃないから。」
「だって今千春はあと少し〇〇県に居るのよ。学年がかわると 横浜近くのキャンパスになるの。学部変更?何だっけ?
それまで 寂しいし 男の人が居た方が防犯でも 安心だわ。」
「おじさん 今夜僕が来ること知ってるの?いつ帰って来るかなぁ?」
「明日昼頃には帰って来るわ。」
「そうか。昼ね。」
「真弓。今夜は泊まってくでしょ?たまには飲みなさい。」
「うん。ありがとう。泊まらせて貰うよ。
親は今さ 〇〇県なんだ。しょっちゅう転勤でさ 根無し草だよ。あと少しで定年だけどね。」
「まぁ 法曹関係は仕方ないわね。泊まるなら 先にお風呂入っちゃう?その方がのんびり出来るでしょ?着替えは 新品の下着は買っておいたから。LLサイズ。あとは 浴衣と半纏 部屋に置いといた。バスルームにタオル何枚かあるから。下着なんかは洗濯機に放り込んでおいて。奥の部屋使って」
「ありがと。じゃ まだ夕方で飲むには早いし 風呂貰うよ。」
かつて知ったる他人の家?真弓兄ちゃんは すたすたと 家の奥に続く離れのようになっている客間に向かって行った。
「ねぇ母さん。真弓兄ちゃんって この家に来たことあるの?」
「あら 千春は覚えてないかしら。私が生まれる前から真弓の父親は来ていたし 真弓だって赤ん坊の頃から来てたわよ。
真弓の両親は結婚してここに住んでいたくらいだもの。
今 物置と車庫になっているとこ あそこに 家が建っていたのよ。三部屋くらいのこじんまりした家がね。 隠居部屋だったのよ。そこに 真弓の両親は 住んでいたの。
お父さん あなたのお爺ちゃんね。
お爺ちゃんの弟の子が真弓の父親。あなたのお爺ちゃんと真弓の父親はおじと甥なのよ。私と真弓の父親は従兄になるのね。真弓の母親も 遠い親戚なの。
真弓の父親は勤め始めた頃は ここに 居候していたのよ。何回か転勤して 結婚して ここにすんでいたのよ。
でも何年かしちゃあ 転勤転勤で。
真弓が小学生の時かな 官舎に住むって。隠居部屋として使って 夫婦が住んで 誰も住まなくなって 傷んだから 取り壊したのね。
そして 真弓が中学の頃 田舎のあの大きな家にしばらく住んでね。真弓も高校で受験のことを考えて 真弓だけ残って 居候して。
勉強して大学受験して 受かって 今は 真弓はお医者さんなのよ。」
「えーっ?真弓兄ちゃんって 医者なのー?医者?えー知らなかったよ」
「あら?言わなかった?親達みたいに 転勤転勤は嫌だって。法学部じゃなくて 医学部に行ったのよ」
「真弓兄ちゃんの、お父さんって?」
「検事かな?裁判官かな?どっちかよ。」
エリートな家庭で。頭が良くて 格好良くて 医者?
なんか サラブレッドしゃないか。
俺なんか
爺ちゃんは何か事業をしていて 金があるらしいけど。母さんは普通の短大卒だっけ?死んだ父さんは 何かカナダだかアメリカと日本のミックスっつうだけだし。俺は一応クオーターだけど 私立の二流大学で 空手以外は 取り柄がないし。身長だってやっと170越えた位だし。食っても食っても太らないし。
腕は腕立て伏せくらいやるからまぁまぁだけど 胸板は薄いし 腰も細くて ジーンズ細いし。
もっとたくましくなりたい。髪の毛も薄い茶色だし髭もあんまり濃くないし 男らしいところが 無いよな。
一応一人暮らししてるから 家事は 人並みには 出来るかな?一応弁当も自分で作るし。居酒屋でも バイトしたし。
でも 真弓兄ちゃんから見たら レベルは落ちるよな。
なんか 自己嫌悪。
見た目も良いのに 仕事もエリート。
ずるいんじゃないか?
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