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真弓兄ちゃん 6
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真弓兄ちゃんが 風呂からあがって 1階のリビングのソファで寛いで ミネラルウォーターを飲んでいる。
俺は母に頼まれて グラスを取りにキッチンへ行こうとして 途中のリビングに居る真弓兄ちゃんを見つけた。
廊下に隠れて真弓兄ちゃんを盗み見て その姿をしばし 見とれてしまった。
斜め後ろを向いている真弓兄ちゃんから たぶん死角になって俺の姿は見えないだろう。
薄暗い庭を眺めながら ボトルをごくごくと飲んで その度に喉仏が上下している。高校生だった真弓兄ちゃんとあまり変わらない?
髭剃り痕が もみあげの下あたりで 青々として 耳の下の顎の骨の 出っ張りに続いている。横から見えるあのくちびる。
子供ながら あのくちびるに キスをして欲しくて。そう 口づけして欲しかったのだ。
そして浴衣から見えるあの手首から肘 二の腕。かなり逞しい腕。あの腕に抱きついていたかった。抱き締めてもらうことが 嬉しかった。浴衣の胸元から見えるのは 胸毛だろうか?手で 撫でてみたい。太い首に 捕まってみたい。あの頬を触りたい。大きな手で 俺を触ってくれた。背中におんぶして あの首に頬を擦り付けたい。背中に ほおずりしたい。
千春って 呼んで欲しい。
でも 俺は 幼児じゃない。
もう オスの匂いをさせた 男。
青臭い男。
そっとため息をついて
少し戻ってから 足音をさせてキッチンに行き グラスと調味料を持って リビングの前を よそ見しないで 通りすぎた。
真弓兄ちゃんがこっちを見たのか 気がついたのか わからない。
しかし 千春って 呼びもしなかった。
昔 あれは 幼児だった俺の 夢物語だったのか?幻?
実際には なぁんにも 無かったのか?
夜になり、食事が始まった。
俺は 黙々と箸を動かしテレビを見ながら食べ物を飲み込んだ。味などわからない。
母は 時々 席を立ったりしながら 真弓兄ちゃんの相手をしていた。
真弓兄ちゃんは 食べながらビールを飲み やがてウイスキーに変えた。
ほとんど鍋だのテーブルの上が片付けられ チーズや 乾きもの ピクルスなどに変わった。
真弓兄ちゃんは 酒が かなり強いのかな。見た目は少し顔が赤くなっているようだけど 分からない。
俺も風呂を終えて 再び炬燵の部屋にに入った。
真弓兄ちゃんは かなり酔っていたんだろうか?母を相手に ノロケらしき話をしていた。
やっぱり 彼女が居たんだ。
悲しかったけど
驚きだったけど
絶望感で胸がつぶれそうだったけど
嫉妬で 沸騰しそうだったけど
羨望で涙が 出そうだったけど
切なさで この部屋に戻って来たことを悔やんだけど
失恋決定で淡い望みを抱いた自分に大笑いしてやりたかったけど
昔の出来事にすがっている自分に後悔したけど
自分のうぬぼれを 叱咤してやりたかったけど
傲慢な想いを心の隅に 育てていた自分を反省して ほぞ を 噛む思い。
でも やはり 真弓兄ちゃんのそばに 居たかった。顔を見ていたかった。声を聞いていたかった。
「姉さん それでね デート終わってさ 帰り 送ってく訳よ。
その家のそば ちょっとした 林になっていてさ。その暗がりでさ 又引き寄せて キスしちゃうんだよ。その前 散々ホテルでさ いいことしたのにさ。別れがたくてさ。」
「やーね。そんな道端でさ。」
「大丈夫。夜中だから。
キスするとさ 又 抱き締めちゃうんだよ。ね、わかる?姉さん。やりたくなってるの。
おやー?姉さん こういう話 嫌いなのー?」
「もう 男って 嫌ね。
馬鹿馬鹿しい。私後片付けして 寝るわよ。ここ このままで いいから。部屋の ベッド カバー取ってあるから。エアコン弱くしてあるから 適当に寝なさい。千春も適当にね。頼むわ じゃ。」
「はいはい。女に用は無しっ と。
千春君は 未成年か。じゃあ飲めないな。よし。千春君には 女の口説きかた 教えてやるぞ。」
真弓兄ちゃんが少し呂律の回らないような口調で話している最中 母は お休み と言って出て行き 自室の2階のドアの音が聞こえた。
俺はテレビを見る振りをしていた。内容は 入ってこない。
最早 氷も水も入っていない グラスに ウイスキーを自分で 入れた真弓兄ちゃんは 俺に
「千春は 大学1年?」
「そうだよ。」
「そうか。彼女は出来たかな?」
「わいわい みんなで 遊びに行くけど 特定の人は 居ない。」
「今まで女と付き合ったことはあるのか?」
「う いや そういうのは まだ」
「女と そういうこと したこと ある?」
「いや そのぅ」
「そうか。童貞クンか。
ふふふ。皮剥けた?自分でスルのかい?」
「そ そんなこと。真弓兄ちゃんに か 関係無いだろ。俺は ごく 普通の男だ よ。」
「そうか?
イマドキの 若者の そういう話。是非 聞きたいよ。特に 千春のをね。いけない?」
そう言って 真弓兄ちゃんに見つめられて。俺は もう 体が浮き上がりそうで。真弓兄ちゃんの顔も見れない。じっと俺を見る真弓兄ちゃんの視線に耐えられなかった。なんで こんなに 見つめるんだよ。見ないでくれ。いや 今は 俺だけを 想って。でも 恋人と そういうことをしている真弓兄ちゃん。俺の向こうに恋人を想像しているのか?真弓兄ちゃんがその腕で ひとまわりも ふたまわりも 小さくて 華奢な女の背中ごと 抱き締めて。赤く口紅の塗られた唇に…………。
裸の女に覆い被さって そういうことを …………。
俺は経験がないけど そういうDVD は視たことはある。
派手な声をあげて ヨガル女に 腰を振ってるのか?真弓兄ちゃん。
嫌だけど それが 現実なんだ。
ウイスキーをグッと煽って 真弓兄ちゃんが俺を又 見る。
「千春は モテそうだなぁ。
本当はキスくらいしたんじゃないか?
おっぱいくらい揉んだんじゃないか?
おっぱいは 良いぞ。うん。
優しく触ってさ。指先で撫でて 乳首を起たせるのさ。そして 優しく じゅうって 吸うんだよ。舌でさ レロレロってなぶってさ。又 焦らすように 吸い付くんだ。
耳を はむっ って噛んだり 耳の中に ベロリンって。
気持ち良さそうな声を聞くのも 醍醐味だなぁ。」
「真弓兄ちゃんは 経験豊富そうだね。今も沢山 恋人居るんだろうね?」
「経験か?さぁ どうかなあ?
僕はね 千春。
寂しい男なのさ。
そうか。千春は楽しい大学生活を送ってる。
僕は 寂しい 寂しい 独身生活だ」
心の中で毒づく。女とホテルで そういうことをして。送って行く途中 又 キスして 抱き寄せて。
それなのに 何が寂しい 独身生活だ?
やっぱり 風呂から出たら さっさと 自分の部屋に行けば良かった。
女と そういうことをしている って 認識させられて。
俺に彼女の話を平気で 振ってくる。
あまりに 残酷な現実を 思い知らされる。
俺は 思わず ウイスキーの瓶を 取り 母が置いていった新しいグラスに 注いだ。
真弓兄ちゃんか慌てて グラスを取り上げようとしたが 一口 煽った。
「千春!おい。」
「俺は 今夜は 飲みたいんです。」
しかし喉が焼けるようだった。
「熱い。焼ける。熱い。」
「ほら 水飲め。ミネラルウォーター。冷えてないけど。ほら口開けて。馬鹿だなぁ。急性アルコール中毒になったらどうするんだ?ウイスキーってアルコール度数高いんだぞ。しかも未成年の分際で。」
「俺 正式には二十歳ですよ。
本当は 二十歳。真弓兄ちゃん知らないっしょ?俺 昔 体 弱くて 1年遅らせて小学校に入ったんすよ。入院してて。大学でも 遅らせたって言ってないし みんな 俺のこと19才って思ってるけど。俺は 本当は二十歳。20才。」
すると真弓兄ちゃんは俺の頭を撫で始めた。
「そうだったなぁ。体が弱くて。空気の良い田舎に来ていたんだっけな。それでも着いた日には熱を出して。川で、濡れちゃあ 又熱出して。盆踊りの夜店も あちこち連れまわすと 熱出して。帰りにはグッタリしちゃってなぁ。
一日外に居れば 日焼けして 水ぶくれになるし。
みんな畑に行っても 一人布団で寝ていたときも有ったなぁ。
沢山歩くとつかれちゃうから 帰りには 千春をおぶって。
今は健康的な 顔色になったなぁ。
良かったなぁ。丈夫になって。
千春は 昔 女の子みたいに 可愛かったからなぁ。」
嘘つけ。昔のことなんか 忘れて 女の話ばっかり しているくせに。
酒の勢いも あって 俺は 真弓兄ちゃんを 睨みつけたのだった。
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