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真弓兄ちゃん 9
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真弓兄ちゃんに案内されて 入った部屋は落ち着いたモノトーンの家具で統一された部屋だった。そこに無粋な色の段ボール箱が幾つか乱雑に並べられていた。
国道沿いで かなり交通量が有るようだか 防音がしっかりしてる ということだった。事実 ドアが閉まった途端 車の音も聞こえなくなった。
昼間寝なくちゃいけないときもあるから 防音の部屋を探したんだよ。
と真弓兄ちゃんは言った。
防音されている部屋は しん と していて 静かにしていると遠くで車の騒音が少し聞こえてきた。
静かな部屋で 真弓兄ちゃんの顔をまともに 見ることも 出来なくて。
俺は そっぽ向きながら ぶっきらぼうに たずねた。
「どれを荷造りするの?この段ボールは空き?衣類から?」
「引っ越しは業者には お任せで頼むから あんまり無いかな。捨てるものも捨てたし。
見られて困る物は 自分の車に積んだし。」
「へぇー。見られて困る物?
彼女との変な写真とか?
彼女のいやらしいパジャマとか?
あっ コンドーさんとか?それは他人に見られたくないよね。
えーと この箱は?
なんか医学書?」
「千春。この前から 彼女 彼女って?
僕は寂しい独身生活だって言っただろう?」
「嘘ばっかり。うちのお母さんにノロケ話 聞かせていたじゃないかっ!
真弓兄ちゃん いつ結婚するのっ?
新しい部屋だってどうせ彼女と 住むんだろう?
彼女居るくせにっ。俺なんかわざわざ 手伝わせなくたって 彼女に 手伝わせれば良いじゃないかっ! なんで 俺なんかをっ!
俺は 真弓兄ちゃんなんか 好きじゃないんだっ。どうして俺をっ。俺なんかっ。構うんだよっ!」
「おい おい。千春。なんで泣いてるんだ。どうしたんだ?
千春に泣かれると 僕は 本当に弱いんだよ。」
「真弓兄ちゃんなんか。
俺の気も知らないでっ!
彼女んところにいけば良いだろっ!
俺なんかが 泣いたって 何とも無いだろう!俺に優しくするなっ!
惨めだ。俺 帰る。電車で帰る。」
「待てっ! 千春。お前が何故 彼女彼女って 言っているのか分からない。」
「まだ とぼけるのかよ!母さんに 彼女のノロケ話していただろうがっ!送りがてら き きす するとかっ!」
「??? っ!
このことか?」
と真弓兄ちゃんがテレビの下の箱を取り出した。DVD 。韓国語で書かれた何かのドラマ。
何それ?
今関係無いもの 出すなよ。
「千春は今 家に居ないから 姉さんが韓国ドラマや 或 韓流俳優に 夢中になってるの 知らないんだな。
レンタル落ちでセットで安かったから。買ってあげたんだよ。ひとあし先に見たから
。
このドラマは 中々エグい内容だよって説明してたのさ。
さて と。
千春?
僕に彼女が居たら なんで 千春は 泣いたのかな?
僕は都合良く解釈しちゃうけど?
下を向いて 真っ赤になって 千春は 相変わらず可愛いな。
僕は 一途な 性格でさ。
昔から 僕にまとわりついていた 子が 忘れられなくてさ。
からだが弱くて。
でも 守ってやる って約束したからね。必死に勉強してね その子の主治医になりたくてね。主治医になるよって 約束したんだけどな。
やっと義理を果たして その子が居る横浜の医者に なろうと、思ってさ。
愛しい その子に会いに行ったら なんだか 避けられてね。
もう昔のことなんて 忘れたんだろう。
可愛いその子は ツンツンしているみたいだから 嫌われたんだって思ったよ。
ところで。千春 彼女居るの?
僕はね 千春のこと 好きだよ。昔から。」
「えっ!
な な なに 言ってんのさ。
だって 林のそば とか 散々………
そ そ そうだ。おっ おっ おっぱいを 舐めるとか す す 吸うと か 言ってた じゃんかっ!」
「昔 の こと。千春は覚えて無いかな?
千春と一緒に お風呂入ったこと。綺麗な綺麗な おっぱいだったよ。膝の上に 抱き締めて おっぱいにキスしたこと 忘れちゃったかな?
ご飯の時 いつも 真弓兄ちゃんの隣って箱膳並べたの忘れたかな?
特別なキスをしたこと忘れたかな?
おんぶすると うなじ と 背中に しがみついて 真弓兄ちゃんと同じ匂いに なりたい って 頬ずりしたの 忘れたかな?罪作りな子供だったよな。」
「じゃあ じゃあさ ど どうして ずーっと うちに来なかったんだよ。
俺 真弓兄ちゃんに会いたかったのに。」
「アレから 千春、入院したろう?
肺炎こじらせて。僕は受験で。医学部へ入ったら入ったで本当に過酷でさ。
でも お正月には行ってたんだよ。
千春は 寒稽古とか冬合宿で。いつも居なかったな。
でも 元気になって 医者に行くことも無くなったって。
僕の医学部進学も 意味無かったかな?って思ったけど。
千春は 普通に生活して 普通の恋愛をしていけば 良いかな?って。
でも 僕はね 一途な 男なのさ。
どうにか 横浜に勤務出来るメドが立って いざ 千春に会ったら、やめよう やめよう 諦めよう
って思ったけど。
なんで 千春が避けているのか。
諦めきれなくてさ。一途だけど 諦めの悪い男なのさ。」
「ズルい。真弓兄ちゃん。
俺 あのときのこと 忘れられちゃったかな って 思っていたんだ。」
「んー?
あのときの ことって?何かな?
ち は る?」
そう 言いながら
優しい顔で
意地悪そうにちょっと笑ってから
俺に近づいて来て。
俺は後退りしながら
でも後ろに壁が有って
やがて 近づいた真弓兄ちゃんに
くちびるを 柔らかなくちびるで
塞がれて……
俺は 膝から力が抜けて
倒れそうに なったのだった。
「ず ずるい。真弓兄ちゃん ったら。」
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