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同級生 2
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返信葉書を出さずにぐずぐずしていた。
すると 期日が迫ってきたある日 幹事をやっている友達から 直接電話が来て 出ることに無理矢理承諾させられてしまった。
当日 会場になっているオフィスビルの地下の飲食店が何軒か並ぶ 中華レストランに行くと 皆 かなり集まっていた。
入口から店の中を覗くと 白いテーブルクロスが掛けられた丸いテーブルがクラスの数、8個置かれていて それぞれ背もたれのついた椅子が10脚くらいづつ見えた。
受付で 会費を払って クロークでコートと荷物を預け 名札を首から下げて席に着いた。
改めて名札を見ると中学の卒業アルバムからプリントしたらしい制服のネクタイブレザー姿の俺の姿と名前が書かれた物だった。
席に座ると 隣に座った女から声を掛けられた。
「山科君?山科千春君ダヨネ?
私 小学校も一緒だった〇〇だよ。覚えてる?〇〇だよ。」
言われて写真をみれば 微かに記憶がある。ちょっとおとなしい女の子だったよな。
だが現在の姿は
金属フレームの眼鏡を掛け あの頃の面影は無く 厚化粧を絵に描いたような様相だった。音がしそうな程のボリュームのツケまつげ。
くちびるのグロスがテカテカと不自然なツヤを放っている。
しかし何より 吐き気を催す程の甘ったるい香水が先程からプンプンしている。
こんな女の子だったか?
適当に相槌をうって 早々に 喫煙スペースと書かれた一画に向かうと 見覚えのある 懐かしい顔が ちらほらとみえた。
よう!
千春じゃね?
スゲー久し振り。
お前 どこに住んでるだよ!
連絡も取れねぇしよ!
よう!タナベ。
よう!ヨシヤス!
よう!モッチャン!
アキラ!
しばらくタバコを吸いながら互いの近況を話していた。
すると 仲間の一人が入口の方を見て
あれっ?
真弓?真弓だろう?
どこよ?
ほら今受付で金払ってるの。真弓だろ?
久し振りじゃね?
そちらに目を向けると 相変わらず イケメンの アイツが居た。
中学卒業の頃から一段と 背は伸びて
渋さが加わった。
男らしさと落ち着いた重みがにじみ出ていた。
ぴしっとからだに合った淡いグレーのスーツも一分の隙もない。
そう 真弓。山手真弓。
気まずい アイツ。
熱病に冒されたように
若さ たぎる あの日々
一人の女と
俺と アイツと
3人から 始まった
いまだに 何故そうなったか分からない。
いや分かっている。
青臭くて 制御しきれない欲望と好奇心に負けたんだ。
格好つけたくて 欲望と好奇心を 素直に表せなかった。
あの日から。
真弓は 呼ばれて 俺達へ手を上げ
俺に気が付くと
少し 笑い顔を 引き締めた。
俺は 見ていられなくて
顔を背け 所在無く無意識に新しい煙草に 火をつけ 深く吸い込んだ。
そして 点けたばかりの煙草を 灰皿に押し付け 真弓が受付を済ませる前に 席を立った。
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