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同級生 6
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トイレを済ませて 席に戻った千春は 紹興酒をちびりちびりと 飲みながら 目の前に取り分けられた 点心を眺めていた。
煙草を吸いたい。
でも
あいつが居る。
歳を重ねて 一段と 男前があがった。
あの 整った顔。
無駄な肉の一切無い、それでいて胸板が厚く堂々としたからだ。
昔と変わらない落ち着いた雰囲気。
短めに刈り上げたサイドとうなじ。
浅黒い精悍な顔とキリッとした眉毛。
まっすぐ見据える視線。
そして あの少し厚みのあるあのくちびる。
逞しい腕。筋肉がきれいな背中。
そして あのズボンの中身の
男性の象徴を
千春は
知っている。
しかし
あれから 15年。
あいつは もう 結婚したのだろうか?
同じ年齢の奴等は 所帯持ちも、多くなったようだ。
真弓。
お前 結婚したのか?
結婚したなら
恋人が居るなら
毎晩のように 女と?
そうだよな。
居ない訳が無いよな。
お前優しいし
イケメンだし
穏やかだし
クールだけど 冗談がうまいし
あのとき
お前が なかった事にしようって
言ったんだ。
俺も お前も
子供だったから
すごく 間違ったことだって
罪悪感しかなかったんだ。
いけないことって思っていたんだろう?
だけどな
今なら
どうなっていたかな?
気の迷い では 済まされない気持ちが俺はあったよ。
あのときも
今も
俺 お前が好きだ。
あの女が あんなこと
提案しなければ
俺とお前は
友達で 親友で
仲良く付き合っていたのかな?
激情に駆られて
あの女に煽られなかったら
単なる友達だったんかな?
卒業して 時々思い出す友達の一人になっていたんかな。
まずいな。
俺 やっぱり
お前のこと 忘れられないよ。
見ているとつらいもん。
俺 女は ダメなんだ。
やっぱり過去にケジメをつけて
はっきり 告げて
きっぱり嫌われて
新しい気持ちで
一歩踏み出したい
無かったことにしたけど
それを 取り消して
俺の気持ちを伝えて
改めて 俺を 振ってくれれば
改めて 嫌いだと 言ってくれよ
見ているだけでつらいから
思い出にできねぇんだ
会わない15年
忘れようとしたさ
でも
女と付き合った事もあった
でも
その気にならなかった
女は柔らかくて 良いにおいがして
細くて
でも 真弓の顔しか浮かばねぇんだ。
男も試そうと思ったさ。
でも 違うんだよ。
俺 新しく一歩踏み出せねぇ
女とだって男とだって
お前にきっぱり
気持ち悪いとか
何 言ってるんだよって
昔みたいに俺を叱ってくれよ
関係ない関係を取り消しにしてくんねぇか?
友達でもない クラスメートでもない ってことを 無かったことに してぇよ。
未練たらしいな。
やっぱり
帰ろう。
俺は幹事の一人の奴に
急に仕事がはいったから
と嘘をついて
クロークで コートを受け取り
中華料理店の店を出た。
ひとけの無い 通路を歩きながら 建物の端の外階段に通じるガラスドアを開け 階段を登ろうとしたときだった。
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