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同級生 23
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真弓の心のつぶやき
なぁ千春。
お前は 本当に
可愛いな。
僕の暗い 千春への執着心に 怯まない。
僕は 本当に 千春が好きだったんだよ。
あの消ゴムを
新しい消ゴムを躊躇なく半分に割る 親切な気持ち。
あのときの笑顔。
もう あのとき心を射ぬかれた。
ボサボサの寝癖の髪。
まるで赤ん坊がそのまま 制服を着ていたかのようだった。
誰に対しても 自分を飾らない。
純粋な世の中の穢れや陰を知らない無垢な人柄。
知ったかぶりをしない 嘘をつかない。
素直な心。
まっさらな人間
その笑顔を僕だけに向けてほしい。
そう想い続けた中学生活だった。
最初は 好きだとは気がつかなかった。
ただ こいつの為に何かしてやりたくて。
何でもしてやりたくて。
そして 僕をいつも見てほしくて。
好きだって気持ちに気がつかなかった。
そして千春への気持ちが 決定的になったのは 千春へ想いを寄せる女からの手紙。
許せなかった。
千春が誰と付き合おうが口出しすべき立場ではないと 分かっている。
でもニヤニヤと隠すことなく僕に女からの手紙を見せる千春に腹が立った。
そしてその女に近付き 僕とどう?
と言ったらあっさりOKが出て。
こいつ 千春のことなんか好きじゃないんだと判明して 悔しかった。千春の本当の良さを知らないバカだ。お前みたいな女に千春が騙されるのは耐えられない。
そう 何気に千春へ想いを寄せる奴は なるべく千春から遠ざけるようにした。
千春はそれでもマイペースな性格で自分から誰かと くっつくと いうこともなく 淡々と過ごしていた。
僕が身だしなみを教えてから ハンカチやポケットティッシュも持つようになって 髪の毛もとかすようになった。
そしてはにかむように笑うようになった。
すると千春への好感度が上がり 千春の回りには自然と男も女も 集まるようになっていった。
素直で イヤミも知らない 誰に対しても 変わらぬ態度。
興味ないものには 存在すらないかのような マイペースな態度は 或意味新鮮な印象だったのかもしれない。
それなのにまわりに冷たいのではない。
わざとらしさが 一切無い ありのままの姿勢は 人からは 好感しか無かったらしく 天真爛漫な性格そのまま 千春は誰からも好かれていた。
僕は焦りを感じながら 3年になったとき 生徒手帳を熟読し 担任にも確認を取りクラス委員に選出されたとき 千春を指名した。
千春に余分な時間を作らせないようにしたかったからだ。
千春に余計な人間を近付けないようにしたかったからだ。
千春と常に一緒に居たかったからだ。
委員3人の内 あとの一人は誰でも構わない。千春と一緒なら誰がなろうが その人間だけを千春から遠ざけるだけで良いのだから。
あとは
千春に好きなモノを提供して
千春が 驚いたり笑ったり頼ってくれて 僕への依存を深めてくれたら良い。
千春が 千春自身に向けられる好意を敏感に感じることが 無いような性格で良かった。
事実を認識だけして それが自分に向けられた好意とは結びつかない思考の持ち主で良かった。
いつも僕のそばに居て 喜んでくれたり びっくりしてくれたり 頼ってくれたり 僕が庇ってやったり 嗜めたり。
千春が話すことをすべて僕が吸収して 蓄積して 千春の先に僕が居てそれを千春が見てくれるだけで良かった。
ストーカーまがいの 行動も危惧していたことを通り越して 嬉しそうにしていたときは安堵と喜びだった。
千春が笑ってくれるだけで幸福だった。
千春が僕を頼ってくれることは からだが震えるほど 幸福だった。
あの 女に
セックスを持ちかけられるまでは。
僕自身もはっきりこの先千春とどうこうしようと具体的なことは考えていなかったかもしれない。
だがあのとき あの女が
僕を暴走させ 単なる大切な人間から明確に好きだと認識させたきっかけかもしれない。
千春の素直さに漬け込んで 互いの性器を扱き合うことは 嬉しい誤算だったかもしれなかった。
千春の性器を生で見ることは 麻薬のように 甘くて高揚して一時の興奮をもたらしたが 段々物足りなくなっていった。
性器を扱き合うだけでは 我慢できなくて 千春に襲いかかってしまいそうで怖くなっていった。
そのくちびるを思う様吸って味わいたい。
そのどこか甘い香りを堪能したい。
からだすべてを舐めまわしたい。
僕の欲望の証しで まみれさせたい。
僕は自分自身が怖かった。
千春をめちゃくちゃに してしまいそうで
怖かった。
そして 少し距離をおこうと 決心して。
新たに千春から距離を縮めて欲しくて。
そして それは 僕の誤算だった。
千春は もう 僕に 近寄っても来なくて 避けられて 話も 出来なくて。
僕と千春は
言葉も交わすこともなくなり
千春は 横浜から
消えてしまった。
千春と親しい奴も千春のことは知らなくて。
千春のことが 分かったのは
中学を卒業して 15年経ってからだった。
だけどこっちに住んでいるらしい ということだけで
同窓会幹事に なんとか連絡をして なるべく沢山の参加をするよう 頼み込み 参加の連絡がない千春に直接電話をするよう 促した。
千春から参加するとの返事をもらったぞ と 連絡が来て 僕は 再会のチャンスを逃さないと決心したのだ。
もう一度 千春と 話を。
せめて 昔みたいに 気軽に話せたら。
もう 結婚しているかもしれない。
彼女がいるかもしれない。
千春の誰からも好かれる性格を考えたら充分あり得る。
だったら 友達としてでも 構わない。
又 僕に 笑顔をみせてほしい。
もし 誰もまわりに居ないなら
僕とのことも 考えて もらえたら
淡い期待と 闘志が沸々と 僕を奮い立たせたが自信など無い。
でも 当たって砕けろ。
そして同窓会に臨んだのだった。
15年経った 千春は それ相当の 外見になり 清潔感漂う大人の男になっていた。スーツを着ていたが 小首を傾げる仕草や 笑い顔は やはり 壮絶な可愛らしさだった。
煙草を吸っていても 何故か その口元も触れたくなる色気があった。
やっぱり 好きで好きでたまらない。
話しかけようと思えば話しかけられた筈だが 千春からは 僕に対する拒絶のオーラが出ていた。
一歩踏み出さなければ。
千春に近付きたい。
目の前にいるのに 僕を 見ようともしない態度に 怯みそうだった。
そして 千春が会場から消えた。
夢中でそのあとを追った。
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