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千春オジサマ 参
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千春side
幼く見えるソイツは 笑ったかと思ったら眠たそうに まぶたを閉じようとした。
顔が赤い。相当酔っているみたいだ、
たった今 くしゃみしてだろ。
そのまま寝たら寒いぞ。
しかもプラスチックの酒の函は背もたれも無いし 寄り掛かるところも無いから 函から落ちるぞ。せめてその近くの壁にでも寄り掛かるとか………
あー でもそこ 中華料理店の裏で真っ黒な油煙が、少し上の換気扇吐き出し口から垂れている。寄り掛かったら 確実にベッタリした真っ黒な油の犠牲になる。
「おい そこから落ちたら痛いぞ。
寝るなよ。立てよ。歩けないのか?」
「ふぇ?寝ませんよ。寝てません。ったら。少し 休んでるだけでね。」
というそばから 舟を漕ぎそうで。
と思ったら こっくり こっくり。
「おいっ!
言ってるそばから 寝てんだろうがっ。
アブねぇよ!
立て。せめて 別のトコで寝ろよ。
おいっ!」
するとソイツは すくっと立ち上がった。
「はいっ。わかりましたよ。」
と 言って背を向けて歩き始めた。
しばらく見ているとまぁまぁ ゆっくりながら 歩いている。
俺はソイツが歩き出したのを確認して背を向けて駅へ向かった。俺の家は駅を挟んだ向こう側。駅から徒歩10分程。
今居るここは 駅から5分足らず。
歩くと合計15分。
酔いを醒ましつつ家に着く頃には 日付が変わっているいるかな。
それにしても今夜は風が冷てぇな。
大きな通りに出ると丁度タクシーが向こうから来た。寒みぃから タクシーで帰るか。
と手を上げたら 背中にドンと誰かぶつかってきた。強い力では無いが 因縁をつけられたら 弱味は見せられない。
あるいは タクシー乗車の権利横取りか?
それとも こんな時間で 人があまり居ないから 引ったくりか?
思わず
「てめぇ 何しやがんだ!」
と振り向きざま 胸元を掴むと
「すいません すいません。つまづいちゃって。すいません。」
胸ぐらをつかんだ相手はさっきの酔っぱらい坊主だった。
ソイツは俺の顔を見ると安心したように 微笑んで
「良かったー。さっきの人ですね。殴られるかと思いました。本当に そこでつまづいちゃったんです。えへへ」
目の前にタクシーが停車し ドアを開けて
「乗るんですか?ケンカするなら 行きますよ。」
「わかった。乗るよ。近場で悪いんだけど。駅の向こうの3丁目まで」
俺はタクシーのドライバーに行き先を告げながら乗り込もうとすると ソイツは今にも 眠りそうで
ええい。仕方ねぇ。まぶたを閉じたソイツと一緒にタクシーに乗り込んだ。
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