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千春オジサマ 玖
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千春side
今日は週末。
あの坊主が いつものように家に来た。
最近は物を持ってこない。
俺が つい言っちまった。
手ぶらで来いって。
何故かわからねぇが
アイツに飯を食わせてやるのが心地良くなっちまった。
本来俺は料理は嫌いじゃねぇ。
料理の手間も惜しくねぇ。
独りでモソモソ食うより 美味いってガツガツ食ってくれる人間が側に居れば まぁ作り甲斐があるってぇもんだ。
飯を食いながら 奴とポツリポツリと 話をして。
新しいメニューを作ってやると 目を輝かせている。作り方を教えたりすると 憧憬の眼差しで見ている。
これを恋人にでも作ってやんのかな。
奴の恋愛事情は知らねぇ。
あれだけ整った顔してるし 穏やかだし 余計な口はきかねぇし さぞかしモテるんだろうな。
背も俺より頭一つ分高いから 180そこそこくらいはあるんだろうな。
仕事は俺も自分のことは話さねぇし 向こうも話さねぇから 何の仕事をしてるんだかわからねぇ。
わりとネクタイスーツって格好が多いからリーマンかな?
週末休みなんだから サービス業や自営とかじゃねぇと思うがどうなんだ?
しかし奇妙な関係だよな。
或夜 拾った坊主。
何の因果か 俺んとこに よく来るようになって。
年齢も離れているし 一緒に飲んだ訳でもねぇ。
語り合う訳でもねぇ。
趣味や住まいが近い訳でもねぇ。
仕事の繋がりも共通の知人が居る訳でもねぇ。
何となくアイツが
ふらっと俺んちに来て飯食って 暫くしたら帰っていく。
何も話さなくても 黙って飯を食っても 気まずくねぇ。
バカ笑いはしないけど 睨み合う訳でもねぇ。
おかしな 奴だぜ。
あ 俺も おかしな奴か。
くくく。
でも 今夜は週末。
ちょっとゆったり飲みてぇ。
あの店も 今週はあまり顔を出してねぇ。
まぁいつも飯だけ食っていくコイツに つい これから出掛けるって 追い出すように 言っちまった。
ちょっと罪悪感を感じちまう。
いや 俺には俺のやりたいことや行きたいとこもある。
言ってから 少し 寂しそうな顔をしたことに 胸が 痛む。
悪ィな。俺だって 店に顔を出してぇのよ。
アイツが出ていってから火の元確かめて 俺は家を出ていった。
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