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千春オジサマ 拾肆
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千春side
俺は高校のときから 猛烈にアルバイトをした。
一応 小遣いもそこそこ貰っていたし 学校の教材や洋服代もまぁ貰えていたが やっぱり 家には 俺の居場所はなかった。
家を早く出ていきたかった。
家族に頼みごとを するより 金を貯めて自力で 独り暮らしをしたかった。
俺の家の朝飯は普通の飯が テーブルに冷えて並べられていたが 俺の分は 無いに等しかった。おかずは有るのに 兄貴の分として ラップが掛かっていて しかも 一品多かった。
父親と母親が済ませた後の食い散らかした 中途半端な納豆だの醤油にまみれた漬け物 一口分の卵焼き……
鮭だの干物だのは 無くなっていた。
俺は海苔の佃煮や味噌汁だけで 済ませるようになり、そのうち 俺の席には 菓子パンひとつ 置かれるようになっていた。
夕飯も然り。菓子パンが2個に増えただけだった。
足りなくて 炊飯釜の飯を食ったら 翌日には菓子パン2個と100円玉が3枚置かれていた。
俺は賄い付きアルバイトに精を出し夕食をそこで済ませ 昼は学食で 朝飯は家では何も食わずに コンビニやファーストフードで済ませた。
家では俺が部活をしようが バイトをしようが 帰りが何時になろうが 誰も関心を払わないし 咎めたりされなかった。
俺は 居ても居なくても 関心の払われない 存在で 高校の卒業後も 進学しようが 働こうが 何も言われなかった。
そして俺は 高校卒業後 専門学校に進路を決めたと同時に家を出て 独り暮らしを始めた。
家では 実家を出るに当たって 親父から金を渡された。どこに引っ越すかも聞かれなかったし 同じ横浜市内とだけは伝えたが 家族は 関心も無いようでどこに住むのか なんてひとつも聞かれなかった。
新しい住所は メモに書いて 冷蔵庫に貼っておいたが 家族は誰も見たりしないだろう。
独り暮らしを始めると 親しい高校の友達が来るようになり 俺は その内の一人の女と同棲を始めた。
だが それも数ヵ月で終わりを迎え 女は出ていった。
俺は 女が荷物をまとめているのを かわいた目で 見ていた。
その女と同棲をし始めたときから いつか 終わりが来ると思っていたし。
感情移入しないようにしていた。
他人に 何か期待しても その通りにはならないし 俺を親しく思ってくれる奴が居たら そばに来れば拒まない。
それだけ。
他人とは 機嫌を損ねることをしなければ
良好でいられる。
おどけて 冗談を言っていれば 良好な関係でいられる。
そして あのことが。
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