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千春オジサマ 弐拾参
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真弓side
知らなかった。
千春サンの過去。
とても重い話だった。
だけど だけど……
この前 一緒に酒を飲んだとき
僕を受け入れてくれたんじゃないのか?
酔いに任せて千春サンのくちびるを奪ってしまったあの夜。
好きだと言ったら 僕の胸に倒れるように来てくれたじゃないか。
甘い千春サンのくちびる。
嫌がっているようにはみえなかった。
千春サンから言葉は無かったけど。
でも 強引じゃなかった。
顔を近づけていったら
キスを静かに受け入れてくれていた。
好きだと言って抱き締めたら
抱き返すように 僕の背中に手を添えただろう?
恥ずかしがって真っ赤になって
あんな可愛い千春サンに 何度も何度もキスを繰り返して。
あの夜は
それで満足して
キスしかしなかったけど。
あれは
千春サンにとって
不本意だったと言うのか?
しかし待てよ
あの千春サンの親友
何で
僕が飯を食いに行ってることを知っていたんだ?
何で
僕の家が直線で3キロって知っていたんだ?
僕は千春サンの親友に言ったこと
有ったっけ?
でも確かに
千春サンの優しさに
漬け込むようなことはしたくない。
しばらく
距離をおいた方が 良いのだろうか?
でも千春サンのことは
好きで好きで堪らない。
千春サン。
僕からの 気持ちは
迷惑なのか?
断りきれなくて
僕とキスしたの?
あの夜
僕が寿司屋で握ってもらった寿司を食べて 僕が持っていった日本酒を グラスでクイクイ飲んだんだ。
ダイニングテーブルで椅子で向かい合って座ったんじゃない。
ソファに並んで座って テレビを見ながら
ふと 会話が途切れて……
千春サン好きです。
って言ったら 少しびっくりした顔をして俯いた。でも耳が赤くなっていて。
思わず肩を抱き寄せて 千春サンの手から酒のグラスを取り上げて あごの下に指を添えて こちらを向かせたら
とてつもなく 可愛い顔をしていて
困ったような 顔で見上げて
いとおしくて 妖艶で 堪らなくて
そのまま顔を近付けた。
ふるふると震える 閉じたまぶたに軽くキスをして 頬に あごに そして そのくちびるに そっと蓋をするように 口づけた。
柔らかくて甘くて 吐息ごと くちびるを 舐めた。
くちびるを離したら 僕の胸に頬を擦り付けた。
堪らなくて堪らなくて 可愛くて 抱き締めながら
好きだ 好きだって繰り返し繰り返し言っていた。
拒絶してなかった
と思う。
でも
あのバーのマスターの
言う通りなら
僕は千春サンを
傷付けて居たのか?
僕を傷付けまいと 無理していたのか?
千春サンの優しさに漬け込むことをしていたのか?
ぐるぐると 色々な 考えが 頭を回る。
千春サン。
千春サン。
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