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千春オジサマ 参拾弐
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バーでの会話
「知らねぇっつうの。
俺だって千春と連絡つかねぇから困っているんだよ。
携帯は 繋がらねぇし。
しばらく行かれない ってメール来てそのままだし。
家に行ってみたけど 留守みたいだし。
大家 ッて あのマンションのオーナーは千春だしよ。
えっ?
君知らねぇの?
この店だって千春がオーナーなんだぜ。
あっ仕入れ業者から電話だ。
ちょっと ごめんよ。」
千春の親友のマスターが席を外した。
すると奥から頭が半分白髪で覆われた男が出てきた。見たことがあると 近付く顔をまじまじと見ていると
「こんにちは。私はこの店でピアノを弾いている者です。
そして今までここに居た奴と一緒に住んでいるパートナーです。
覚えてくれていたみたいてすね。
真弓さん でしたね。
あなたのことは知っていますよ。
というより あなたのお父さんをよく 存じてますよ。
あなたが 今 どこに勤めているかも知っていますよ。
千春さんのこと 聞きに来たんでしょ?
千春さんと ついに念願叶って………
あっ 心配しないで良いですよ。
アイツ、私の恋人のマスターは 仕入れに出掛けましたから。車のエンジンが聞こえたでしょ?
そして 千春さんとあなたが進展したってことはアイツは知らないですから。
あの翌日 千春さんが 店に来ましてね。私と話をしたんですよ。
びっくりしなくて良いですよ。
千春さんってね
自己評価のすごく低い人でね。
或意味 頑固で
或意味 かなり 鈍感って言うか
自分に自信がなくて
あからさまに 自分に向けられる
好意や 誘い 好きですアピール
暗黙の誘惑が
全く分かっていない人なんですよ。
沢山の人間が居て
例えば誰かが
そのつもりで家に誘っても
誘惑されているって
気がつかない人なんですよ。
もちろん
欲望は人並みに有るんでしょうが。
気の有る素振りを 散々彼にしても
それがベッドへの 誘いを露骨にしても
気がつかない人なんですよ。
千春さんって人は
千春さんが好きになったりしない限り
そういう状況になっても 絶対一線を越えない人なんですよ。
わかりますか?
あの年齢てすが
彼は恋愛経験が本当に皆無に近いくらい 純情乙女な人です。
だから
真弓さん
あなたとそうなったことは
とても驚いたし 喜ばしいことだと思ってます。
でも
だから
千春さんとのこと あなたにとって
重い ことに なるんじゃ ないかと思いますよ。
彼は
はっきりいうと真弓さんとのこと
後悔しているみたいです。
普通の後悔 って 捉えないで下さいね。真弓さんに
男を相手にセックスをさせてしまったって 千春さんは 責任を感じてるってことです。
自分の行動が 真弓さんを苦しめたことに 成りはしないだろうか? って
あまりにも自己評価低いでしょ。
千春さんって そういう人なんです。
真弓さん。
あなたは 今 もし 千春さんの性格が重いと 感じるなら 手を 引いた方が良い。
千春さんも 今なら 酒の過ちとして自己完結して傷も少なくてすむでしょうから。
マスターとしてのアイツは 又 違った意味で あなたに 千春さんには近付くなって
言ったんでしょうけど。
私は あなたの千春さんへの気持ちが
アイツみたいに勘違い と までは言いませんが それに近い感情では無いかな って。少しあなたは 距離を取った方が良いと思ってます。
まぁ
他人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて なんとやら
ですけど。
千春さんのこと
まわりの人間は みんな 好きなんですよ。
人間として魅力的な 人を惹き付ける要素満載の 人だと思いますよ。
そう思いませんか?」
そう言って
ピアニストは
話を終えて 階段を昇り 消えていった。
誰もが
勘違いだとか
僕から千春サンから
遠ざけようとする。
勘違い
なんかじゃ
ない!
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