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兄
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空気が美味しい、とまではいわないが景色はそれなりに良い中庭で、優くんが作ってくれたホットサンドを齧る。
横に並ぶように腰を下ろした達也が口を開いた
「へぇ、それで真咲くんはその早玖って人の時折見せるギャップに骨抜きにされて、乙女のような顔で教室に来ちゃったわけだ」
「なわけねぇだろどう解釈したらそうなるんだ」
ふざけるなと思わず肩をどつく。
「痛てぇ」と全くの無表情で告げる達也の焼きそばパンを齧ってやった
「いや、お前一口デカすぎ!」
「ひまひまふっふぇんなほ(ちまちま食ってんなよ)」
今度は焼きそばパンを守るように、背中を向けられる。
小さい男だ。
「俺はさ、お前に好きな人ができないことを心配してんだよ。」
「余計なお世話。俺は優くんがいてくれるならそれでいい」
もう一度齧ってやろうと正面に回るが、またもや背を向けられてしまう。
すると、あのなぁ、と咎めるようにこちらを振り返った
「真咲は優さんがいればいいかもしれないけど、優さんはそうじゃないだろ?優さんが可愛い女の人と結婚する可能性だってあるし、ましてはあの可愛い優さんだぞ?彼氏が出来るかも知れない」
そう一言。それは、まるで頭上に何か鈍器が落ちてきたのではないかと疑うほどの衝撃だった。
「優くんが結婚…彼氏……」
少し考えれば誰でも考えつく未来。そしてそれは、ずっと思案することを放棄してきたひとつの未来だった。
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