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兄
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俺の頭の中で小さな女の子が、「同情するなら金をくれ!」と叫んでいる。
そんな、混乱する俺をよそに、目の前の男は1人楽しそうに話し出す。
「いやー、会えてよかった。ずっと会いたいと思ってたんだよね。早玖から話は聞いてたし……それに、優さんの弟なんだよね?」
「なんで優くんのこと知ってるんだ」
すっと頭が冷静になる。どんな存在であっても、優君に害が及ぼすことは許さない。〝ずっと会いたいと思っていた〟という言葉に違和感を覚える。俺と三根谷早玖の初対面は一昨日のことで、それほど時はたっていない。だがそれよりも、こいつが優君にどのような影響を優君に与えるのか、最大限の可能性を考えた上で……
「真咲、顔、顔。5人くらい殺めた顔になってる。」
「わぁ~。ほんとにすっごいブラコンなんだね。
早玖は大学から一人暮らし始めたんだけど、よく遊びに行くんだ。ちょうど俺がいる時、優さんが家に遊びに来たことがあるんだけど、その時早玖が寝ちゃって。優さん暇そうだったから二人で話して、仲良くなっただけだよ」
安心してね、の言葉と共に、頭を撫でられる。
正直、あの変人三根谷早玖の弟であるこの人を、完璧に信用するということはまだ難しいが、
優君が以前、友達の家に遊びに行って弟くんと仲良くなれた、と嬉しそうに話してくれたことがあったので、嘘はついていないのだと思う。
それより……
「いつまで撫でてんだ。縮むだろ!」
「え~。真咲くん撫でやすい身長だからさ。ついね」
この兄弟は、自分より小さな身長の人間の気持ちを考えようとはしないらしい。
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