アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兄
-
カラカラの喉をどうにか潤そうと、ごくりを唾を飲み込む音がやけに大きく響いた。
菜箸を器用に使い、野菜を取り分けてくれていた優くんが、
「その……一緒に学校まで行く約束したんだ」
自分の発言に照れているのか、白く細い首がほんのりと色づく。今までにないほどの可愛さを放つ優くんに、思わず目眩がした。
「じゃ、じゃあ明後日!明後日は一緒に行こうよ」
そんな必死の考案にも、とても申し訳さそうに眉を落とす。
「ごめんね…これからは一緒にって約束したから…」
「……そ、そうなんだ……」
絶望的だった。必死に表情筋を駆使して、表情に出さないようにするのが精一杯だった。
1日、たった1日優くんと登校出来ないだけで授業に全く集中出来ないほど落ち込んでしまったのに。
『真咲は優さんがいればいいかもしれないけど、優さんはそうじゃないだろ?』
達也の言葉が、頭の中をよぎる。
「ごめんねまーくん…そんなに落ち込まないで…?家では一緒にいられるし、ご飯もほら!今まで通り朝晩は一緒に食べるし…その…」
一生懸命言葉を選んで慰めてくれる優くんの心遣いに、はっと我に返った。
俺が優くんを困らせてどうする。俺が優くんの気持ちを分かってやれなくてどうするんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 42