アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兄
-
一先ず、と思い最後列に腰を下ろす。早く、一刻も早く謝りたいという思いが先走り、今すぐにでもそばに行きたいという衝動が抑えきれない。少しでも近くに行こうと立ち上がったそのとき、力強く腕をひかれた。
驚き、後ろを振り返るとそこには息を切らせたアイツがいた。
「お前っ、なんでこんなとこいんだ」
声を潜め、こちらに詰寄る。額を汗を浮かばせ強くこちらを見つめるそいつに思わず怯んだ。
何故、ここにこいつがいるのだろう。どうして、ここが分かったのだろう。様々な疑問が浮かんでは消えた。
掴まれた腕から生まれる微かな痛みにハッと我に返り、その手を振り払う。
その瞬間、限界まで張りつめていた、今まで必死に抱え込んでいた思いが一気に溢れ出た。
「元はと言えば、全部お前のせいだろ!!」
その声は大きく響き、一瞬の静寂を生んだ。訝しげにこちらを見る講師。
チッと小さく舌打ちをし、予想外の出来事に驚き、かたまってしまっている俺の腕をもう一度強く掴み走り出した。
腕をひかれながら思わず優くんの方へ振り返ると、目を見開きこちらを見つめる優くんが、大きな扉に消えていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 42