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兄
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引かれるままに、連れられた場所は先程訪れた噴水だった。再び目にする美しいはずの光景が、酷くくすんで見える。
「離せよ…!」
そう言ってもう一度その手を振り払った。そうでもしないと泣いてしまいそうだ。こんな奴のせいで、こんなやつの前で泣きたくない。
そんな俺の小さな意地は、すっかり見透かされているのだろう。目の前のそいつは俺の目線に合わせるように少し屈んでこういった。
「お前がなんで怒っているのか教えてくれ」
よめない表情でのぞきこむ。
この期に及んで、と目の前が真っ赤に染った。
俺はこいつのせいでこの数週間まともに生活が遅れないほど悩んでいたというのに。
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