アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
休日 【ロゼッタ視点】
-
「弓弦さんってば、相変わらず料理が上手なのね」
そう言って、私の焼いたクッキーを食べる義姉。
同じように頷きながら幸せそうに食べている兄。
「いえ、兄の食事も作っていましたから。腕が衰えてなくてよかった」
「はは、ずっとイルの為に頑張っているからな」
「イル?」
義姉は、イルに会った事がない。
だけどイルは、私の記憶を通じて義姉を知っている。
「ああ、桜色の髪の男の子だよ」
「ピンク色!?地毛なの?見てみたいな」
「ピンクとはちょっと違いますよ。そうですね、薄いピンクに灰色がかった感じでしょうか」
「会ってみたいわ…。でもあなただけ知ってるなんてずるいわ」
「はは、イルには嫌われているけどね」
カグラさんがちょっとだけオドオドしている。さっきから会話についていけていないのだろう。
「そうそう、兄さん。イル以外にも作る相手が増えましたよ
カグラさんがその一人なんです」
「そうなのかい?どう、弓弦の料理。ここだけの話、妻の料理は食べられなくてね」
「聞こえてるわよ!もう!弓弦さんに教わりに行こうかしら」
「私はいつでもいいですよ」
笑って言うと、カグラさんがオドオドしながらも答えた
「あ、あの……とても、美味しいです」
「だよね!」
明るい兄さんが好きだ。笑う兄さんが。
その隣に居れるのが、どうして私ではないのだろう。
「でもね、弓弦は昔はとても面倒くさがりでね。私が世話をしないと何もしなかったよ」
「昔の話でしょう。今頃持ち出してくるなんて卑怯ですよ」
「何が卑怯なんだい」
……意地悪なんだから。
私は声を出さずに、そう呟いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 47