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休日 【ロゼッタ視点】
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「さて、もう行こうかな」
時間が経つのはあっという間で、兄は義姉と共に立ち上がった。
「そうね、あんまりお邪魔するのも……」
「そうですか、次はいつ来るんです?」
私が尋ねると、店の扉が開いた
「マスターただいま……」
さっきまで明るかったのに、兄を見た途端に嫌そうな顔をしたイルが帰って来た。
「おかえり、イル。今日は早かったね?」
「んー、欲しいお菓子がなかった。マスターのクッキー頂戴!」
そしてイルを見た義姉が目を輝かせた
「君がイル!?可愛い!!」
むぎゅう、と抱きしめる義姉。……胸で窒息しますよ、イル。
「ちょっ、ま、ますた……!」
ジタバタ暴れようとするイルに、ちょっと苦笑しながら義姉に声をかけた
「義姉さん、イルが窒息しますよ」
「あ、あらやだ」
ハッとして離すと、イルは私に駆け寄った。
「し、死ぬかと思った……」
「お、うらやましいじゃないか。イル!」
「イズは楽観視しすぎーっ!!ボクを助けてくれてもよかったじゃんかーっ!」
そのやり取りに笑って、改めて次の予定を聞く
「……それ、なんだがな?」
ちょっとだけ寂しそうな顔をしたことで、分かってしまった。
「……引っ越すんですか。ここから」
「ああ。しかも、ちょっと遠いんだ。今まで見たいに週に一回来れる訳じゃない」
「そう、ですか」
無理矢理笑顔を作る
「手紙はくださいね」
「ああ、もちろん」
義姉と兄は、笑って帰って行った。
「……マスター。何で、何も言わなかったの?」
「兄さんの、笑顔が見たいから」
静かに怒っているイルの頭を撫でて私は言った。
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