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season #3
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「雅範はバスケだろ?」
淳一がプチトマトを咥えながら、雅範に視線を送る。
「うん。もう入った。先輩もいい人そうでよかったよ。
あ、智好きだったよね?食べる?」
雅範はデザートのりんごをシャリシャリかじりながら、智に促す。
「食べる!……んまい~。」
りんごを一片(ひとかけ)口に運んでにっこり笑う。
「智、ご飯粒……。」
そう言って、淳一は智の頬を中指で拭い、指についたご飯粒をペロッと食べた。
「修ちゃんはサッカーで、智は美術部?」
淳一の行動に気づいていない修は、雅範の言葉に口をもぐもぐさせながら
二度うなずき、智もコクリとうなずく。
「カズは?」
淳一は最後のご飯を口に頬張り、視線を和哉に向ける。
「ちょっと悩んでるんですけど……写真部と映画研究会、
軽音もおもしろそうだし。」
「全部、楽しそう。」
そう言って、智は弁当箱をしまいながら、カメラをしげしげと眺める。
「でもさ、なんで影からこっそり隠れて撮るの?」
智が不思議そうに小首を傾げると、和哉はにっこり笑って言った。
「その方がいいんですよ。」
みんなが一斉に和哉に注目する。
それでも、和哉はニコニコ笑うだけだった。
「俺、また淳一とサッカーできると思ってたんだけどな…。」
休み時間に猛ダッシュで智のクラスまで走り、やっと勝ち得た帰り道、
修はポツリとつぶやいた。
「あいつ、なんで今さら野球なんて……。」
ふふふっと智が笑って修の顔を覗き込む。
「修君、寂しい?なんか焼けるな、そういうの。」
「え?なんで……そんなんじゃないから。」
「……そんなんて、どんなん?」
智が修に向って、ん?って顔をする。
「そんなんは……。」
修は言いかけて口ごもる。
智の唇の赤さが目に入って、顔に血が上っていく。
「ん?」
智がさらに覗き込む。
「だから……寂しくなんかないから!」
赤い唇から逃げるように目を逸らす。
「うふふ。そういうのいいなぁ。」
「だから、違うって。俺は……」
振り向くと、智の唇が目に入って、また口ごもる。
「照れなくてもいいのに。」
「照れてないから!」
修が大慌てで否定すると、智が声を出して笑った。
「……今日みたいに、みんなでお弁当食べられるかなぁ。」
「隣の席のやつはいいの?」
「うん。友達たくさんいるみたいだから、大丈夫。」
見ないようにしても、智の唇が目に飛び込んでくる。
お昼は大丈夫だったのに……。
修は考える振りをして、空を見上げる。
「部活と授業が本格的に始まると……難しいかもね…。」
「みんな忙しいよね。」
智が寂しそうに俯くのを見て、
修は抱きしめたい衝動を、拳を握って必死に抑える。
「大丈夫だよ。部活が始まっても弁当くらい、一緒に食べれるよ。」
「ん。そうだよね。」
智がふにゃりと笑うのを見て、修は胸の奥がギュッと締め付けられた。
あのキス以来、感情が漏れ出し、自分でもどうしていいのかわからない。
一人でいても、智のことを考えると、今みたいにギュッと胸が締め付けられる。
「ね?たこ焼き、食べて帰ろ?」
智がいたずらっ子のように笑う。
「いいよ。」
修が答えると、智がいきなり、走り出した。
「負けた方がおごりね~。」
「えっ?ちょっと…ずるい~!」
修も急いで追いかけた。
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