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season #13
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笑いながら、智は自分に言い聞かせた。
ドキドキしちゃダメだ。ドキドキしちゃ……。
勢いで手を繋いでみたものの、昔とは違う感触に戸惑った。
いつのまにか自分より大きくなった修の手は、智の手を包み込んだ。
そして、一度繋いだ手を……離すタイミングがみつけられない。
ギュッと握り返されて、ずっと繋いでいたくて……。
昔のように。
ただ一緒に笑っていた、あの頃のように。
手を握り返されて、修もそう思ってるのかと思うと、胸の鼓動が早くなった。
ドキドキして、修に聞こえてしまうんじゃないかと思って、
慌てて茂みに走っていった。
修君はそんなこと思うはずがない。
だって、彼女がいるんだから。
智は茂みをじっと見つめた。
「……覚えてるよ。」
修はゆっくり智に近づく。
修の影が智を覆うと、智は修を見上げた。
修の後ろの電灯が、修の輪郭を縁取っている。
表情はわからない。
智は電灯が眩しくて目を細める。
修の顔が徐々に近づく。
智はまたドキリとして動けない。
修がゆっくり智の隣にしゃがみ込むと、
やっと修の顔が見えた。
「二人で隠れたまま、陽が暮れて、みんな帰っちゃって……。」
そう言って、修は笑った。
「全然探しに来ないねって、智が心配して。」
修は茂みの上をそっと撫でる。
「二人でどうしようって言いながら、ずっと隠れてた。」
智は修から目が離せなかった。
昔の話をしながら、優しく優しく笑う修。
いつもいつも、大事に大事にしてくれる修。
一番大切な一番側にいてくれる幼馴染……。
「ん?どうしたの?」
智は修から目を離さない。
隣にしゃがみ込む時、顔が徐々に近づいて、キスされるのかと思った。
キスされるのを待った。
おいらおかしい……。
修君にキスされたい……!
今まで思ったこともなかった感情が、智をグルグルと取り囲む。
誰かにキスされたいなんて……初めてだ。
修君のぷっくりした唇。
キス……したい……。
「智?」
智はじっと修を見続ける。
修も智から目が離せなくなる。
灯りに照らされた智の顔は、じっと何かを待っているようだ。
長い睫毛が何かを言いたそうに、微かに揺れる。
柔らかそうな頬、薄く開いた唇……。
修は智に吸い込まれそうになる。
おもむろに智の頬に左手を添える。
そして、ゆっくりと近づいていく。
智の胸が、ドキドキと大きく脈打つ。
唇と唇の距離が後10センチほどになった時、修がつぶやいた。
「キスの練習……させてくれる……?」
智が一瞬、目を見開く。
顔を背け、修の胸を押しのけた。
「ダメだよ……。そういうのは練習しちゃ……。」
智は立ち上がり、修に背を向ける。
「ごめん……。」
智の胸は締め付けられるように、キュウッと痛む。
そして気づいた。
自分が修に恋してることに。
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